江川ひろしさんは、その著「話しべたは絶対なおる!」(PHP研究所 1983年)で、スピーチにおいて「あがり」克服の必要性を説き、文字どおり「あ・が・ら・ぬ・ほ・う」をこう述べておられます。
1 あがるのは人も同じと言いきかせ
2 がたきても自信ありげに深呼吸
3 らくな気で批判を恐れず体当り
4 ぬかりない準備で強い意欲もち
5 ほかの人われ思うほど気がつかず
6 うそのよう話すたびごとこわさへり
あがりそうな気がしたら、上記の6つの言葉を心の中で唱えることを、江川さんは勧めています。
僕は小学校の頃から気が弱く発表力なかったので、今でも緊張感の強い場ではあがりそうになります。
「いい歳をして、ろくに話もできないのか」と言われないように、大人になってからは、とくに江川さんの「4」の言葉、「ぬかりない準備で強い意欲もち」を実践しています。「4」の方法は事前に努力できることだからです。
喪主のスピーチをした時は、あいさつ文を丸暗記しました。
新郎の父のスピーチに際しては、ポケットからあいさつ文を書いた紙を取り出して読み上げました。
足がガタガタ震える時もあればそうでない時もあります。胸がドキドキすることもあればしない時もあります。
研修の講師に招かれた際は、先に登壇なさった講師さんが動画も採り入れたビジュアルなスライドを用い、流ちょうな話し振りでご講演されました。
僕はこの様子を見て圧倒され、極限まで緊張しました。
もう自分のやり方でやるしかないと開き直り登壇して、まず、身振り手振りを交えて「僕の話は泥臭いです」と述べました。ウケ狙いではなかったのですが、ドッと笑いが沸き起こり、自分のペースで話すことができました。
困った時は、デール・カーネギーさんが著された「道は開ける」(創元社 文庫版 2016年)に教えてもらったことが、役立っています。
1 「起こり得る最悪の事態とは何か」と自問すること。
2 やむをえない場合には、最悪の事態を受け入れる覚悟をすること。
3 それから落ち着いて最悪状態を好転させるよう努力すること。
状況をあるがままに受け入れることによって、心が少しは落ち着いて、冷静な判断ができます。
アウトプットの機会となるので、先月初めて読書会に参加しました。事前準備は課題図書を読んだだけで、場の雰囲気に合わせて自己紹介や本の感想を述べることができました。
スピーチに慣れないうちは、江川さんの「あ・が・ら・ぬ・ほ・う」を参考になさるのが良いと思います。しかし、水に入らないで泳法をいくら学んでも、泳げません。人前であがらずスピーチをするには、何と言っても場慣れすることが大切でしょう。