「わび・さび」とは何か、僕は日本の伝統としか説明できません。適切な説明は難しいです。そこで、「わび・さび」について調べたところ、意外にも翻訳文献がわかりやすかったです。
ウィリアム・リドウェル他著「要点で学ぶ、デザインの法則150」(ピー・エヌ・エヌ新社 2015年)によると、「わび・さび」が次のように例示されています。
茶道の修行をしていた千利休は、師である武野紹鷗(たけの じょうおう)から庭の手入れをするよう命じられた。彼は砂礫の庭を掃き清め、地面にほうき目を付けた。そうしていったん庭全体を完璧に整備したのち、彼は桜の木を揺さぶり、いくつかの花と葉を無造作に地面に散らした。これがわび・さびである。
もともと、「わび」と「さび」は別の意味を持っていました。レナード・コーレン著「わびさびを読み解く」(ピー・エヌ・エヌ新社 2014年)によると、
「侘び(わび)」は「冷え冷えとした」「乏しい」「枯れた」と意味し、「寂び(さび)」は世間から離れた自然の中での独り住まいの寂しさを言い、やる気が萎え、意気沮喪(そそう)し、鬱々としている心の状態を指した。
しかし、長い年月をかけて、「わび」と「さび」は線引きが非常に曖昧になってきました。
また、「わび・さび」には、自然とのふれあいを通じて学んだ3つの教訓が活かされているそうです。
1 万物は、無常である
2 万物は、不完全である
3 万物は、未完成である
コーレンさんは、「わび・さび」を次のような美として表現しています。
不完全ではかなく未完成のものが織りなす美
謙虚で慎ましやかなものが織りなす美
ありきたりでないものが織りなす美
「わび・さび」は外国でも関心が高い芸術文化です。このような情緒ある我が国の伝統文化を大切にし、また、観光資源などとして活かせていきたいものです。