仕事力

心に響く自己啓発

努力できることも実力でしょうか?

俵万智さんのエッセイ集「りんごの涙」(文春文庫 1992年)によると、俵さんは高校時代、失恋をキッカケにして学業成績が急に落ちたそうです。

俵さんは、勉強熱心の努力家で高校2年生のなかごろまでは、かなりいい成績をとっておられたそうです。失恋によって、勉強という努力を一時的にできなくなったことが成績急落の直接的な原因です。

俵さんのお母さんは、実力と努力を別物と考えておられたようですが、俵さんの見解は違いました。

が、努力と実力という二つの力があるのではなくて、「努力できるということも実力のうち」なのではなかろうか――と、努力できなくなってはじめて私は、気づいたように思う。そして努力の中から実力も、生まれてくるのだろう。

なお、学業成績が落ちたとは言え、俵さんは難関の早稲田大学文学部に推薦入学なさいました。やはり、すごいです。

高校時代の僕は恵まれていました。家庭が円満で、友達とも仲良くお付き合いできました。もちろん、恋愛の機会はまったくありませんでした。

勉強に専念できる環境の中で、コツコツ受験勉強という努力を重ね、第一志望の大学に入学試験で合格することができました。

顧みると、僕は、「四当五落」と言われるような厳しい勉強をした経験はありません。友達と適度に遊び、夏休みなどの期間に無理のない程度に自習をしました。選択と集中による一定量の努力が功を奏したようです。

学業成績が伸び悩む同級生を見ると、理解力や記憶力、要領の良さは僕より優れているけれども、いかんせん努力の量が不足していたのではないかと思いました。

社会人になっても僕は、最初はパフォーマンスが低かったですが、コツコツ努力を重ね仕事力を上達させるタイプでした。

「努力できるということも実力のうち」という俵さんの見解に則って、努力を積み重ねれば道は開けてくるのではないでしょうか。