ヒューマンエラーの防止に関して、「ハインリッヒの法則」が提唱されています。
どういう法則かと言いますと、1件の重大な事故の陰で29件の軽微な事故が発生している。さらにその陰で「ヒヤリハット」と呼ばれる小さな異常が300件も発生しているというものです。「1:29:300の法則」とも言われています。
軽微な事故やヒヤリハットは重大な事故の予兆ですので、これらのヒューマンエラーを未然に防ぐことが大切だとされています。
丹羽宇一郎さんは、「仕事と心の流儀」(講談社現代新書 2019年)の中で、この法則の考え方を一歩進めて、次のように述べておられます。
ものは考えようで、小さな失敗や問題がしょっちゅう起きていれば皆が絶えず緊張感をもって仕事に当たり、油断は生まれません。小さな失敗があるたびに反省し、改善していけば、重大事故を起こさずに済みます。
大切なのは、軽微な事故やヒヤリハットが起こった時、原因を究明し、同じヒューマンエラーを繰り返さないことだと、僕は思います。
顧みると、僕が還暦以後に勤務した職場では、お客様あての郵便物を封入するに当ってトリプルチェックを行っておりました。ヒューマンエラーが撲滅できないので、ダブルチェックとなり、さらにトリプルチェックとなったものです。
形式だけ何回チェックしても、ヒューマンエラーは撲滅できません。エラーを起こさない行動を指導するともに、万一重大事故が発生した際の重みを認識し、また認識してもらうことが大切だと思います。