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税務署は、決算書のどこを見ているのでしょうか?

国税局調査官の大村大次郎さんは「決算書は3項目だけ読めばいい」(PHP新書 2020.9.29)という本で、税務署目線での決算書を読み解く方法を解説していらっしゃいます。税務署の目線とは、「素早く決算書の内容を読む」「本当に儲かっている企業を探す」ということです。

決算書は「売上」「利益」「現金・預金」の3項目だけでも簡単に読み解けるし、これらの項目を時系列で増減を見たら良いと述べられています。

とくに、「現金・預金」は現物との照合ができるため、嘘をつきにくい項目です。ほかに、嘘をつきにくい項目としては、「受取手形」「支払手形」「土地」があります。

一方、「売掛金」や「商品在庫」などは嘘をつきやすく、決算書は簡単に操作できるとのことです。

ですから、決算書を過信してはならないと、よって、決算書は「企業分析の入り口」と思ったほうがいいと、述べられています。

僕は融資審査を行った際、預金と不動産に注目していました。

預金は残高だけでなく、入出金の状況、定期積立金の積み立て状況、口座振替の引き落とし状況など、さまざまなことがわかります。

また、不動産は資産価値だけでなく、権利関係もわかります。

これらの情報をベースとして、調査を進めることができました。

大村さんの本の感想になりますが、自己資本比率流動比率などの比率を用いず、必要な項目の数字を時系列で確認していく方法を採っておられます。一般的な経営分析とは異なる手法で分析が進められ、会計の初心者だけでなく、ベテランにも参考となる点が多々あると思います。