突然ですが、歴史の正誤判定問題です。
(問い)
最初の合戦「大阪冬の陣」で和睦し、二度目の合戦「大阪夏の陣」で幕府軍が勝利した。
(解説)
「冬の陣」が1614年、「夏の陣」が1615年であり、この問いは一見、正しいように思われます。
しかし、「大阪」ではなく、正しくは「大坂」です。「冬→夏」か「夏→冬」かに関心が集中してしまいますが、問題を多角的にとらえないといけない一例です。
中田亨さんは、著書「『事務ミス』ナメるな!」(光文社新書 2011年)の中で、鉄道事故のエピソードを語っておられます。
・1951年、横浜の桜木町駅付近で列車火災事故が発生。
乗客はドアを開けてもらえず車内に閉じ込められて、多数の方が焼死しました。
この事故を教訓として、車両のドア付近に非常用ドアコックが設置され、車内の乗客がドアを開けられるようにされました。
・1962年の三河島事故。
乗客は避難のため車両ドアを開け、線路に降りて歩きました。そこに別の列車が進入して、多くの乗客をはねてしまいました。
この事故を教訓として、事故が発生したら、すべての列車を停止させるようにしました。
・1972年、北陸トンネルを走行中の列車が火災。
列車は緊急停止しましたが、出口から遠いトンネルの中で列車が燃えたため、多くの犠牲者が出てしまいました。
この事故を教訓として、トンネル内で火災事故が発生した場合は、列車はトンネルを出るまで停止しないこととされました。
いずれの事故も重大な災害で、さまざまな角度から発生原因を検証されたに違いありません。しかしながら、講じた対策が別の事故を引き起こすことが、隠れた問題として存在していました。
事故やミスは盲点をついてきます。問題を多角的にとらえるということは、非常に大切なことですが、簡単なことではありません。「言うはやすし、行うはやすしきよし」です。