仕事力

心に響く自己啓発

リスクと手堅さのバランスをとるには?

初めての仕事に取り組むことや初めての職場に勤めることは、リスクです。知らないことが多いので、不安になってしまいます。

 

羽生善治さんは、著書「大局観」(角川新書 2011年)の中で、新しい作戦を考えたら本番でそれを試すリスクを冒さないと、プロ棋士としての成長が止まってしまうと述べています。

リスクを取らないことは最大のリスクである

同じ戦法を手堅くとり続けることは、安全なやり方に思えるが、長期的に見ると進歩がなく、最も危険なことなのです。ライバルも進歩しているのです。

 

そうは言いつつも、やみくもにリスクを冒せば良いと言うことでもありません。手堅さも必要なのです。

将棋界では「鍛えの入った一手」という言葉がよく使われるそうです。これは、実戦経験を重ねていく中で身についていくものだそうです。負けにくい一手、慌てない一手、今まで苦しい思いをしていなければ指せないような一手を意味します。

僕も、仕事の経験を重ね、「鍛えの入った交渉」や「鍛えの入った判断」を多少はできるようになったと思います。相手の立場になって話しながら、いつの間にか当方にもメリットのある状態で交渉をまとめたり、万一うまく行かなかった時のことを考慮した手堅い判断を行ったりできるようになりました。

 

将棋界ではまた、「着手する前に四つの香車(きょうしゃ)を確認しなさい」という言葉もあります。四つの香車というのは、通常、盤上の四隅に置かれています。

対戦中は、駒がぶつかり合っている所や相手が指してきた所に注意が向きがちになります。四つの香車を確認することで、将棋盤の全体を俯瞰でき、うっかりミスが少なくなるわけです。

これは、今まで僕が述べてきたこととも、よく似ています。「木を見て森を見ず」にならないこと、「ワールドリー」であるべきこと、「メタ認知」や「自己観照」を意識すること、「Why」から考えることです。

 

どこまでリスクを取ると良いのか、どこまで手堅くやると良いのか、言葉では言い表しにくく、経験がものを言います。

そうですね。いきなり大きなリスクを取るのではなく、小さなリスクから取っていくことですかね。トライ&エラーを繰り返しながら成長していくことが、リスクと手堅さのバランスをとることにつながるのではないでしょうか。