「十八番」という言葉は、「じゅうはちばん」と読むだけでなく、「おはこ」とも読まれています。角川国語辞典では、「じゅうはちばん」も「おはこ」も見出し語として、それぞれ記載されています。
「じゅうはちばん」で引くと、「①歌舞伎で、主として市川家に伝わった新旧各十八の得意の狂言。②最も得意とする物事。おはこ」と記されています。また「おはこ」で引くと、「①得意の芸。じゅうはちばん。②くせ」と記されています。
「じゅうはちばん」は、歌舞伎に由来するという説以外にも諸説あります。プロ野球の世界でも、背番号「18」がエーズナンバーとされることが多いです。
また「おはこ」の語源は、ウィキペディアによると
「江戸時代では、高価な書画や茶器などを丁重に箱に入れて、『真作である』ことを示す鑑定者の署名である『箱書き』を添えた。ここから、『本物の芸であると認定された』という意味で、『おはこ』と言うようになった」
と記されています。
僕はとくだん上手なものがないのですが、一応カラオケでは「六甲おろし」を「十八番」としています。「六甲おろし」を歌っていた人が「替わってくれ」と言うので、曲の2番あたりからバトンタッチして歌ったことがありました。想定外に「うまいじゃないか」と乗せられ、「六甲おろし」を「十八番」とするようになりました。
カラオケでほかの曲をうまく歌えなかったときは、次に僕は、一応の「十八番」である「六甲おろし」を歌うことにしています。得意な曲を歌えば、気分も良くなるし、自信も戻って、また別の曲に挑戦する勇気もわいてきます。
うまくいかないこと、自分のできないことが続いたら、気分が落ち込みます。そういう苦手なことばかりに目を向けないで、自分の得意なものに注目する、あるいは、やってみると、「自分もそう捨てたものじゃない」と思い直すことができます。
人それぞれ、できること、得意なことがあると思うのです。一応の「十八番」でもいいから、その十八番に戻れば、気分転換ができ自信も取り戻すことができるでしょう。