仕事力

心に響く自己啓発

「隠れた資産」とは何か?

日本のスキー・スノーボード人口は1998年の1800万人をピークに減少を続け、2020年には430万人にまで減少しています。さらにコロナ禍が追い討ちをかけ、スキー場業界は厳しい経営環境に直面しています。

 

和田寛さんは株式会社岩岳リゾートの社長で、白馬岩岳マウンテンリゾートの運営をなさっておられます。和田さんの著書「スキー場は夏に儲けろ!」(東洋経済新報社 2022年)では、冬季の収益低下を補うためどのようにして夏季にスキー場に集客するか、その創意工夫や企業努力が述べられています。

発想の原点となるのは次の2点だと、僕は解釈しました。

① 何によって収益を上げる事業なのか、ビジネスを正しく定義すること

② 隠れた資産を見つけ出し、その資産を効果的に活用すること

まず①について

従来は「スキー場を運営する事業」と暗黙のうちに考えられていた定義を改めて、和田さんは「レジャー産業」と定義し直しました。よって、遊園地などの遊戯施設や沖縄などの観光地もライバルととらえることとなりました。

次に②については

「隠れた資産」を「モノ」「ノウハウ」「ヒト(お客さん・ファン)」の切り口から、何が活用できるのかを検討されました。モノについては、土地・建物・機械や景観などの中で十分活用できていないもの。ノウハウについては、従来のビジネスを通じて蓄積されたものの中でさらに活用できるもの。ヒト(お客さん・ファン)にもっと喜んでもらう工夫。

隠れた資産を見つけ、磨きをかけ、活用することによって、白馬岩岳マウンテンリゾートは夏季にも多くの人が訪れるレジャー施設に変わりました。

 

一般的に、業績が落ちてくると、社内にないものに関心が向かいがちになります。つまり、ないものねだりをしてしまうのです。和田さんの偉いところは、ビジネスを定義し直すことによって社内の「隠れた資産」に目を向けたことです。

資産は貸借対照表に計上されたものだけではありません。本当は、貸借対照表にのらない自社ならではの見えない資産の中にこそ収益を生み出す宝が隠されている可能性があります。今の事業の定義を見直し、隠れた資産を見つけ出す努力が大切です。