経営学者のヘンリー・ミンツバーグさんが、「創発戦略」を提唱しました。創発戦略は、当初決定した計画を実践する過程で予期していなかった状況が発生した場合、その対応のため、現場で適宜修正を加えながら試行錯誤して形成されるものです。
創発戦略に基づいた例として、経営層と現場の管理職層とが、予想外の問題について対話を重ねながら試行錯誤して経営戦略を策定したり、それを実行したりしていくやり方が考えられます。
ミンツバーグさんの著書「戦略サファリ第2版」(東洋経済新報社 2013年)には、一言でこう述べられています。
戦略は優れた実践を導く。そして、実践から優れた戦略が形成される
つまり、計画的に策定された戦略と現場での実践過程で創発的に立案された戦略とが相伴って、すぐれた企業経営を実現できるということです。
戦略論ではありませんが、実業家で作家でもあるロルフ・ドベリさんは、著書「Think clearly」(サンマーク出版 2019年)で、
ものごとがすべて「計画通り」に運ぶことなどない
早いうちに軌道修正した人こそ、うまくいく
と述べています。
たとえば、飛行機が「予定された飛行ルート上を飛んでいる」割合は飛行時間全体の「ゼロパーセント」だそうです。状況の変化に適応して、当初予定の修正を加えながら実践していくことの大切さが説かれています。
僕が総務担当だったとき、強い台風が直撃するという情報を前日に得て、幹部会で「社員の自宅待機」などの対策を立てました。台風直撃の当日朝4時に起床し、空模様を確認しました。荒れた天候ではなかったのですが、確実な情報が得られません。やむを得ず、当初の予定どおり社員の自宅待機などを実施しました。結果的に台風の被害はまったくありませんでした。
正しい情報の早期確認と柔軟な対応という点で、他に良い方法があったのではないか、当初の対策を修正したほうが良かったのかと反省しています。