人材育成などの専門家、福島正伸さんの著書「キミが働く理由(ワケ)」(中経出版 2009年)を拝読しました。
著者は大学を卒業し、せっかく就職した会社で何の魅力も感じられず、入社月に退職してしまいました。
その後著者は、4つの事業に取り組みましたが、いずれも売上が上がらず、全部失敗してしまいました。生活費は家庭教師の収入で確保していたとのことです。
そこで、著者は「不可能を可能にした方々」に会ってみたいと考えました。友人のお父さんの紹介から始まり、1年間で180人の方とお目にかかりました。すべての方々に同じ質問をしました。
「どうしたら、夢が叶いますか。不可能が可能になりますか?」
すると、
「あなたにとって失敗の定義とは何ですか?」
と質問を返してくる方がいました。
「どんなに努力し、ありとあらゆることをやっても、あらかじめ立てた目標を達成できなかったことです」
と、著者が答えたところ、その場で叱られました。要約すると、次のような言葉です。
「駄目だ。君みたいな人間が仕事をしたら駄目だ。社会の迷惑になる! 営業に行って断られたと言うんだったら、相手の会社の社員の名前は全員書けるよね? 提案書を出した日にちを全部書けるよね?」
甘かった。著者の努力とその方が言う努力は、考え方が全然違うことがわかったそうです。
さらに別の方とお会いしました。
「福島さん、失敗ばかりしていると、人生が楽しくなるだろう?」
「何で楽しくなるのですか。」
「だって君、失敗したら、その原因を探ればいいだろう。そうすれば、次はどうしたらうまくいくか、ノウハウが見つかるじゃないか。どんどんノウハウがたまって、いつか世界一になっちゃうよ!」
失敗が続いたら、誰もできなかったことができるようになるということです。自分がやってうまくいかないことは、他人がやってもうまくいきません。簡単にできることは、誰でもできます。ビジネスや仕事は、簡単に他人がまねできないことで、顧客や社会に喜んでもらうことだと、著者は学びました。
世の中で何かをやろうとすれば、壁に突き当たります。その壁は、制約条件です。制約条件は誰にとっても、簡単に突破できるものではありません。それを乗り越えるには、新しい方法を見つけるしかありません。だからこそ、制約条件は、イコール成長条件なのです。