論文名:Y理論は万能ではない
著者:ジョン・J・モース(元カリフォルニア大学大学院教授)、ジェイ・W・ローシュ(ハーバード・ビジネススクール教授)
出典:新版 動機づける力 (ダイヤモンド社 2009年)
日本語訳発表年:2008年
【あらまし】
X理論とY理論
経営学者のダグラス・マグレガーさんは、「仕事をやるぞ」という気持ちになるモチベーションに関する仮説と、その仮説に基づく管理手法を結びつけて、二つの理論を展開しました。それが「X理論」「Y理論」と名付けられたものです。
X理論とは「人間は本来仕事が嫌いだ」という仮説に基づき、「仕事をしてもらうには、厳格に従業員を統制し命令・強制が必要だ」とするものです。 一方、Y理論は「人間は自律的に仕事をするものだ」という仮説に従い、「統制は緩やかで個人の目標と組織の目標を一致させる」という管理手法です。マグレガーはY理論を推奨しましたが、X・Yどちらの理論に基づいて実務を行うか、現場では悩ましい問題でした。いわば、北風を採用するか、太陽を採用するかの違いです。
ある大企業の工場と研究所の調査
著者らは某大企業の四つの組織について調査を試みました。このうち二つは、作業が比較的一定の工場です。残りの二つの組織は、やや不確実性の高い仕事に従事していた研究所です。
工場の一方は優れた業績をあげており、もう一方は劣っていました。研究所の方も同様、一方が優れており、他方は劣っていました。
優れた工場は、統制が行き届いており、従業員の経歴や仕事の取組み方が似通っていました。
一方、優れた研究所は、自由度の高い職場で、従業員は経歴がバラバラで多種多様な知識とスキルの持ち主たちでした。
調査から得られたこと
組織運営上、Y理論が適切だとは限らないことがわかりました。業務と組織と人材の関係が複雑であり、おそらく業務と人材に合わせて組織を構成するのが最も賢明だとのことです。
【教訓】
Y理論が万能ではないことが明らかになりました。
また、研究所のように新しいことを考案する部署に関しては、自由度や多様性が比較的高い組織を構成するべきだということを、この論文から学びました。
今一番求められているのは、多種多様な知識・スキルを混ぜ合わせて新しいことを考える力だと、僕は思います。