工学博士の畑村洋太郎さんの著書「失敗学の法則」(文春文庫 2005年)を拝読しました。
業績が思わしくなくて悩んでいるビジネスパーソンは、うまいラーメン店の店主を見習うべきだと述べられています。
東京のとあるラーメン店は、平日でも行列ができています。繁盛している秘訣は、店主が「お客さんの反応を見逃さない」ところにあります。
・店内は清潔に保たれている
・満席の状態でも、コップの冷水が常にいっぱいになるようにつぎ足されている
・丼やレンゲ、箸といった食器は、お客さんが使いやすいように考え尽くされている
・スープが、ほかのどの店でも味わったことがないような、それでいてクセがない、何とも言えないよい風味である
・ラーメンを口に入れると、実においしい
商品やサービスが行き届いていることに、著者は感心したそうです。
店主の話によると、ラーメンは同じ味を続けているのではなく、一年に1~2回の割合で見直しているとのことです。材料の種類や量、ブレンドの方法など、あらゆる角度から徹底的に吟味されています。商品だけでなく、他のサービスに至るまで、店主はお客さんの反応を確認して改善を怠りません。
繁盛するラーメン店になるためには、ものの本に書いていることを真似するだけでは効果がありません。学ぶべき繁盛店と比較して改善を図らなくてはなりません。麺のコシなのか、スープの味なのか、価格なのか、店内の雰囲気なのか、立地条件なのかなどと、評価項目を決めて、自店と比較するわけです。
こうした比較・改善は、ラーメン店だけでなく、すべてのビジネスパーソンに共通するものなのです。そして、改善のバロメーターは「お客さんの反応を見逃さない」ことです。