コピーライターの川上徹也さんの著書「仕事で大切なことはすべて尼崎の小さな本屋で学んだ」(ポプラ社 2020年)を拝読しました。主人公は、出版取次会社に新卒入社した営業担当の女性です。
物語ですが、兵庫県尼崎市に実在した「小林書店」(店主:小林由美子さん)に著者が取材したエピソードがたくさん盛り込まれています。主人公が小林書店から学んで成長していく様子が描かれています。小林書店のエピソードは、読者にとっても勉強になります。
小林書店は、商店街のはずれにある10坪くらいの面積の小さな本屋さんです。店でじっと待っていても、お客さんは来てくれません。人気の本も、出版取次会社は小さな本屋にあまり売ってくれません。
そこで店主は、外へ出て営業する活動に力を注ぎました。近隣をまわって本の予約を取ったり傘を売ったりと。本屋が傘を扱うのは違和感がありますが、小林書店にとっては同じ販売市場なのです。
店主は人付き合いに長じており、お客さんと接するマナーや心構えもぬかりがありません。トーク力もすごいです。おそらく店主の小林さんは、仮に営業職に就かれたとしても大活躍できた方でしょう。営業の達人と言えます。誰もがマネのできるものではありません。
もう1冊、桐生稔さんという方の著書「雑談の一流、二流、三流」(明日香出版社 2020年)を拝読しました。著者の桐生さんは新卒で人材派遣会社に就職しました。
しかし新規営業が苦手なため、入社3か月で地方の営業所へ左遷されます。地方に行っても相変わらず新規営業ができないので、彼は既存のお客さんだけを訪問しました。既存のお客さんと商談ではなく、ちょっとした雑談を行なったそうです。そういう毎日を過ごしただけなのに、既存のお客さんからジャンジャン新規顧客の紹介が入るようになりました。その後他社へ転職されてからも、雑談力が功を奏しました。
桐生さんは雑談の達人なのです。ご自身の雑談のノウハウを著書にまとめ上げられたことは、ありがたいです。著書の一例を引用します。
三流は、話し上手を目指し、
二流は、聞き上手を目指し、
一流は、何上手を目指す?
(中略)
一流は、話させ上手を目指す
この著書を拝読して、僕は雑談に関しては三流にも満たない四流かなと思いました。
ある程度の規模の会社であれば、営業やコンピュータなどで抜きん出た社員が一人や二人いるものです。僕が同じ会社で勤務した営業の達人は、雑談8割・商談2割と言っていました。達人たちがノウハウをオープンにしてくれても、同じことが凡人にはきっとできないと思います。
しかしながら、このたび拝読した2冊の著書も含めて達人たちがたどるプロセスを研究すると、凡人でもちょっとだけマネできたり努力すれば改善できたりする可能性もあります。たとえば、お客さんと接する態度や話させ上手を意識することなどです。
僕は達人ワザではなく、凡人ができることに注目していきたいと思っています。努力を積み重ねて優秀な凡人になりましょう。