仕事力

心に響く自己啓発

職業の多毛作化

ちきりん著「未来の働き方を考えよう」(文藝春秋 2013年)および柳川範之著「40歳からの会社に頼らない働き方」(ちくま新書 2013年)を拝読しました。世の中の状況が変わってきたので、お二人とも40歳代で仕事を変えたらどうかとおっしゃっています。

これらの著書や最近の動向から見ると、次のような変化が伺えます。

1 ITやAIの技術の発達

 コンピュータに熟練した方であれば、生成AIという新しい技術も使える世の中になりました。しかしながらこれから先、不要になる仕事もあります。同じ仕事にしがみついていると、機械に仕事を取られてしまうかもしれません。

2 新興国の台頭

 新興国では製造コストが安いというだけでなく、英語で普通にコミュニケーションがとれる技術職や事務職の人材が現れるようになりました。新興国の職場に製造以外の分野の仕事も奪われる可能性が高まります。

3 長寿化

 IPS細胞の応用など医学の発達により、さらに寿命が延びていく可能性があります。老後の長期化がリスクになりかねません。また今後、人々の働く年数もさらに長くなり、50年くらい働かないといけないかもしれません。40代くらいで仕事を変える人が増える可能性があります。

 

昨日まで隆盛であった会社でも、激しい変化に適応できなければ繁栄を続けることはできません。昨今はリスキリングが必要だと言われています。相変わらずのスキルや知識で永続的に働くことが可能なのでしょうか。

以前は同じ組織で一生働くことが一般的でしたが、今後は特別なことになる可能性があります。仕事の単作から二毛作、多毛作へという変化が予感されます。

現在の職場で一生懸命働くことはもちろん大切ですが、何らかの原因で他の職場に移っても通用するスキルや知識などを磨いておくことが大切です。5つの例をあげます。

1 商いのセンス

 営業活動やマーケティングの仕方が変化しても、商いのセンス、商才というのは永久不滅のものです。商いのセンスがある人と親しくなるとか、そういう人と一緒に仕事をするというのもありです。

2 思考力

 自分の頭で考える努力を怠らないことが大切です。また、上司、部下、同僚などと相談を密にして、人の頭を活用するのもありです。情報漏洩にならないよう配慮して、社外の友人の頭を借りることもありです。松下幸之助さんは、「衆知を集める」ことが大切だとおっしゃっています。

3 コミュニケーション力

 交渉業務やプレゼンの経験を積み重ねて、上達していくことが大切です。保険営業の達人、フランク・ベトガーは、デール・カーネギーの話し方教室で学び、実践しました。実践で失敗してもそれを活かしていくのが、賢い考え方です。

4 外国語スキル

 英会話ができなくても、英文を読んだり書いたりできるだけでも特長になります。また、多くの人が知らない英語以外の言語を習得すれば、鬼に金棒です。もちろん、需要のある外国語に焦点を当てることです。

5 ITスキル

 コンピュータを使いこなせることは、本業であっても業務の一部であっても必要不可欠なものです。日常業務や自己研鑽の中で怠りなく。

職業の多毛作化を念頭に置いて、一つの組織だけでなく、他の職場においても通用する力を磨いていくことが、今後ますます重要になるでしょう。