仕事力

心に響く自己啓発

ヤマを張る

野村克也さんは、京都峰山高校から南海ホークスのテストを受け、1954年にプロ野球入団を果たされました。キャッチャーで強打者として活躍され、9度も本塁打王を獲得され、三冠王など数々の好成績を残されました。

こういう偉大な選手ですが、野村さんの著書「『問いかけ』からすべてはじまる」(詩想社新書 2020年)によりますと、プロ入り5年目、変化球を打てない壁にぶつかっていたそうです。対戦相手たちは、変化球を苦手とする野村さんの弱点を突いてきたので、三振を量産する事態になりました。

コーチに聞いても、「ボールをよく見ろ」といった程度のアドバイスしかしてくれません。スイングスピードとパワーを上げようとトレーニングを繰り返し、さらに、名選手たちのフォームを観察、模倣しました。

しかし、どんなに取り組んでもどうしても変化球に対応できませんでした。「やはり素質がすべてなのか」と絶望したこともありました。一握りの天才型の打者は、ストレートを待ちながら変化球に対応することができます。野村さんは、そういう器用なことができなかったのです。

野村さんは、あきらめずに「どうすればいいのか」と問い続けました。野球の本も読み研究しました。そういう努力を続けた末、投げてくる球種についてヤマを張ってみようと気づいたのです。相手投手の癖を見抜こうと録画を何度も見て、かすかな癖を発見しました。ストレート、変化球などの配球の傾向も分析しました。その結果、高い確率で相手投手の球種を事前に察知できるようになったとのことです。苦労に苦労を重ねて編み出した「ヤマを張る」というやり方です。

何事も「もうダメだ。限界だ」とあきらめず、「どうすればいいのか」と問い続けることが大切だと語っておられます。そうした問いかけの結果が、「打撃の技術」ではなく「ヤマを張る」ということだったのです。「ヤマを張る」ということは、安易なものではないのです。