野村克也さんの著書「成功する人は、『何か』持っている」(詩想社新書 2018年)を拝読しました。この著書は、野村さんの幼少期からプロ野球で活躍するまでの人生を題材にして、いかにすれば夢がかなえられるのかを語られたものです。
著書を拝読して、野村さんがヤクルト・スワローズから次期監督の就任要請を受けた時は、びっくりされたことを知りました。プロ野球の監督というのは、オーナーなどのフロントや先輩選手に人脈やコネがないと、なかなか就任は難しいものです。長年、活躍された南海ホークスから追われるように退団した野村さんですから、監督の就任要請の声がかかるとは夢にも思っておられなかったようです。
1980年に現役引退後およそ9年間、野球中継の解説を務めたりスポーツ紙で評論を書いたりなさっていました。満足できるほどの自信がなかったので、野村さんのメンターとも言える評論家の草柳大蔵さんに色々相談されたようです。
「見ている人は必ずいますから、どんなときも一生懸命やればいいのです」
「本を読みなさい」
などと、草柳さんからアドバイスを受けられました。読書については、野球分野だけでなく、歴史、政治経済、科学、文学など多方面にわたる本を野球と関連づけて読みこまれたとのことです。
野村さんは、色鉛筆を使ったスコアブックやストライクゾーンを9分割して図示した「野村スコープ」を考案されました。
そうした工夫をなさった野村さんの解説を聞いたり、スポーツ記事を読んだりしたヤクルト・スワローズのフロントが、縁もゆかりもない野村さんに監督就任の声をかけてきたのです。野村さんは、ヤクルトから手腕を高く評価されました。こうも言われました。「野球の真髄を教えてやってほしい」と。
結局、野村さんはヤクルトの監督を9年間務め、4度のリーグ優勝、3度の日本一、そして多くの選手を育てるという実績を残されました。
どこかで人は見ているのです。ピーター・ドラッカーさんであれば、「神々が見ている」(「プロフェッショナルの条件」という著書から引用)とおっしゃるのかもしれません。どんなときも、どんな場面でも一生懸命やることです。