40年くらい前のことですが、桂米朝一門の落語会を鑑賞しに行ったことがあります。まずはお弟子さん方の落語です。お弟子さんといってもベテランですし、噺がうまいので、楽しい時間を過ごすことができました。
最後に、米朝師匠が出演されました。演目は忘れましたが、格違いの面白さでした。「やっぱり米朝はさすがですね」と、一緒に演芸場に行った人たちと話したのを覚えています。
最近では、Eテレの「日本の話芸」という番組を毎週見ております。東京・上方の落語家や講談師が毎週お一人出演され、一つの演目を熱演されます。
中でも面白くて印象に残っているのが、桂文珍さんの「雁風呂(がんぶろ)」という落語です(2024年10月25日放送)。水戸黄門や助さん格さんが登場する古典落語ですが、気軽に笑える楽しい時間を過ごさせていただきました。
米朝さんや文珍さんの落語は、とりわけなぜ面白いのか、考えてみました。
だいぶ以前のことですが、国鉄スワローズと巨人で大活躍された金田正一投手が、テレビでこんな趣旨の話をされたのを記憶しています。
「全力でストレートを投げる。スローカーブも全力で投げる」と。
米朝さんたちは全力でスローカーブを投げておられるのだと、僕は思います。皆さん、一生懸命、熱意を込めて演技をなさいます。米朝さんたちは、その熱意を内面に秘めて軽妙に演技されるので、鑑賞する人たちもゆったりとした気持ちで楽しめるのだと思います。
一方、熱意を表に出したほうが良い場合もあります。
2023年WBCに出場したヌートバー選手は、さすがはメジャーリーガーだなと思いました。内野ゴロでも全力疾走する。一つでも塁を進めるよう、走塁する。守備面でも、倒れてでも捕球しようとする。熱意を前面に出したプレイが好印象として残っています。
ビジネスにおいても、熱弁を振るうべき時と穏やかな表情・口調で話すべき時があります。剛速球とスローカーブの使い分けが大切です。