書名:宙(そら)わたる教室
著者:伊与原新(いよはら しん)
出版社:文藝春秋
出版年:2023年
この著書を原作としたNHKドラマの後半部分を見て、ぜひ読んでみたいと思いました。まず妻がこのドラマのとりことなり、途中から僕もはまったわけです。
東京新宿にある都立高校の定時制が物語の舞台です。著書のあとがきを拝読して、大阪府立の定時制高校科学部で実際に行われた研究を、著作のヒントとなさったことを知りました。まったくの空想物語ではないのです。
老若男女が集まる生徒たちだけでなく、担任の先生までも訳ありの人物でした。個性派ぞろいの4人の生徒と担任の先生が力を合わせて科学部をつくり、火星のクレーターを再現する実験を研究します。ゴールとする目標は研究成果を学会で発表することです。
仕事、病気、家庭問題、友人問題などの悩みをそれぞれ抱えながら、研究活動に没頭しゴールに至ります。
科学部の顧問である担任の先生の言葉で、とくに好きなもの選びました。
「授業をただ聞いていればわかるとか、教科書をただ読んでいればわかるとかいうものではないってことです。数学や物理はとくに」
「手を動かすんです。何度も何度も書く。やみくもにでも式をいじくり回す。いろんな図をしつこく描いてみる。そうしているうちに、わかった、という瞬間が来ます。必ず」
勉強に対する姿勢です。「手を動かすこと、何度も書くこと、図表を書くこと」。こうした姿勢は、理科系だけでなく、文科系の学科や試験勉強でも有効だと思います。
「君は学校を辞めてはいけない。スタートですよ。ここからが」
「過去は関係ない、今がスタートラインだ、今から一生懸命やるのだ」。そういうことを言っています。
「科学はエリートと優等生だけのものなのだろうか」
「誰でも人生をやり直せる、研究はエリートや優等生しかできないものではない」と、言いたいのでしょう。
真剣に研究活動を行ない、成果が上がると、メンバーの感動はいかばかりでしょう。人生は波瀾万丈で、人それぞれ悩みがあります。そうした困難を乗り越えて目標を達成することにエールを送ってくれます、この著書は。