書名:不祥事
著者:池井戸潤
出版年:2011年
銀行の不祥事を扱った8編からなる短編集です。短編ですが、ストーリーとしてつながった著作となっています。
あるメガバンクの事務部事務管理グループに属する調査役と部下の女子行員が、事務処理で問題を抱える支店に出向いて臨店指導を行ないます。事務ミスと接遇面の失敗は、大きなトラブルに発展する恐れがあります。
調査役は、出世コースからちょっと外れた男性で、社内のあつれきを回避して穏便に仕事を片付けようとするタイプです。
一方、部下の女子行員は、圧倒的に事務処理能力が高く、仕事ができる代わりにどんな立場の人にも歯に衣を着せず思ったことを言うスーパーウーマンです。「花咲舞(はなさき まい)」という名です。ドラマで名前を知っている方も多いと思います。「半沢直樹」と優劣をつけがたい敏腕です。
悪意のある社内の行員や外部のお客さんなどと、対決していきます。ときには、「事務」の範囲を超えた事件まで解決します。凡人では解決できない、あるいは、悪意ある相手の罠にはまってしまう危険な事態に遭遇しても、花咲舞の事務処理と接遇態度は的確です。
全編ハラハラドキドキさせられますが、痛快に問題が解決してしまいます。とくに最終章の事件が解決すると、本当にスッキリとした読後感となります。
こんな花咲舞を指揮する立場の調査役は、もっとしっかりしないといけないと思いました。仕事の技能面や頭脳のキレでは花咲舞より劣っても、使命感と熱意は部下より上をいかないとダメでしょう。「どうしたら、銀行がよくなるのか」「社会に貢献するには、銀行はどうあるべきか」という問題意識をもって、調査役は部下指導をすべきだと思います。
調査役さん、ガンバレ!