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「楽天市場」というベンチャービジネス

楽天経営者、三木谷浩史さんの著書「成功のコンセプト」(幻冬舎文庫 2009年)を再読した。楽天市場の創設、業容拡大など、著者自身のご経験をふまえ、鋭い切り口で五つのコンセプトに章立てした著書である。

第1のコンセプト 「常に改善、常に前進」

第2のコンセプト 「プロフェッショナリズムの徹底」

第3のコンセプト 「仮説→実行→検証→仕組化」

第4のコンセプト 「顧客満足の最大化」

第5のコンセプト 「スピード!! スピード!! スピード!!」

 

1997年5月1日、楽天市場はサービスを開始した。

このサービス開始当時、パソコンやインターネットは今ほど一般化していなかった。加えて、インターネットによるバーチャルのショッピングモールには先行事業者もいた。

こうした中で、三木谷さんは、次のような手段を講じた。

1 出店費用

当時ある大手は、入会金100万円、毎月のシステム使用料30万円、さらに売上の10%程度をマージンとして支払ってもらうやり方を採用していた。

このような状況の中で楽天は、毎月の出店費用を5万円。入会金なし。売上に応じたマージンなし。とにかく毎月の固定費5万円を支払えば、楽天市場に出店できるという加入のしやすさを打ち出した(その後、出店費用は設備の充実などの理由により改定されている)。

2 ホームページ作成・編集を容易にするやり方

当時ホームページ作成、編集などは、操作が難しいため専門の業者に頼まないと行えなかった。それでは、作成・編集に長い時間を要し、ホームページ維持費用もたくさんかかる。

三木谷さんは、出店者が容易に使えるシステム開発とノウハウ提供に努めた。

楽天市場のシステムでは、ホームページ請負事業者の頼まなくても、バーチャルのショーウィンドウとも言えるホームページの模様替えを出店者が自由自在に操れるようにした。

また楽天の社員は、パソコンなど触ったことがないと言う出店者と、秋葉原へいっしょにパソコンを買いに行き、ISDN(当時の通信技術)の申込書を書いて、買ったパソコンをネットに接続し、キーボードの打ち方を教えた。サービスを提供するだけでなく、ノウハウも提供したのだ。

3 最終消費者とのコミュニケーション方法

先行していたインターネットショッピングモール事業者では、最終消費者から入ってくる問い合わせや意見などの受信・返信作業は、出店者が行わず、ショッピングモール側で行っていた。

一方、楽天市場では、最終消費者と出店者が直接コミュニケーションをとってもらうことにした。この方法によって、最終消費者の納得感を得られやすくなり、出店者側も消費者の意見をビジネスに活かしやすいと考えたためである。

 

こうした取り組みを実施しても、開業当初は出店者が月に4~5店舗しか集まらなかった。従業員6人が何百もの商店や会社を訪問した結果である。

創業から約1年経って、出店数が100店舗に達した。その頃を境に出店数が急激に増加し始め、業容拡大に至っている。

ベンチャー事業を軌道に乗せるのは容易ではない。先行事業のマネをするだけでは生き残りにくい。楽天は、経営環境に対応し独自のやり方を創意工夫して事業を成長に導いた。この成功プロセスを五つのコンセプトに分けて語られている著書である。