仕事力

心に響く自己啓発

価格の不思議

経済学者、吉本佳生さんの著書「スタバではグランデを買え!」(ダイヤモンド社 2007年)を拝読しました。2007年の本なので情報は古いですが、なるほどと感心することが多い経済書です。

当時のスターバックス(通称スタバ)では、ショートサイズ(240cc)とその2倍の量が入ったグランデサイズ(480cc)の価格差はどの商品でも100円でした。消費者にとっては、容量が倍なのに100円高いだけのグランデがお得です。

では、スタバ側は損するのでしょうか。実は、スタバの飲料のコストは、そのほとんどが人件費や家賃の固定費なのです。容量が増えても、材料費がわずかに増えるだけなのです。だから、グランデが売れると利益も多くなるという仕組みになっています。お客さんにとってもスタバにとっても良いことなので、「グランデを買え」という書名になったものと思います。ちなみに現在のスタバの価格設定は、値上がりはしているものの、大きな変化は見られません。

ところで、同じものなのに異なる価格で販売されているものがあることも、この著書で言及されています。同じペットボトルのお茶が、当時の価格で、スーパーの特売では88円、100円ショップでは105円、コンビニでは147円、自動販売機では150円で販売されています。こうした価格差は、本体の価格以外に時間や労力という手間を消費者が買っているのだと説明されています。近くの自動販売機で買えば、お金は節約できないけれど手間を節約できるというわけです。

僕に当てはめると、コーヒーが好きですが、家でたしなむことがほとんどです。スタバを始めとした喫茶店は、友人らと語らいの場としてたまに利用させてもらう程度です。

実は、サラリーマン時代は毎日のように喫茶店を利用していました。多忙の中、利便性があったのだと思います。高齢者となって、収入は減りましたが、時間に余裕ができたため、一見すると安いように思われる家でコーヒーをつくるやり方をするようになったのです。手間を節約せず、お金を節約するようになったと言えます。

世の中の事象をコストで考えると説明できる部分が多いのだなと、感心しました。