仕事力

心に響く自己啓発

コミュニケーション力

飲食店における「車の両輪」

南インド料理店の総料理長、稲田俊輔さんの著書「お客さん物語」(新潮新書 2023年)を拝読しました。 著者は、料理人であると同時に、他店で楽しむこともモットーにしておられます。ある繁盛している創作居酒屋を訪れました。 しかし、さほど美味しい料理で…

新しい職場になじむためには

新卒入社、転勤、転職で新しい職場に就くと、最初は苦労することが多いにあると思います。 職場にいる人たちにとって、自分という人間がどんな性格でどんな考え方でどんな能力の持ち主なのか、未知の存在だからです。つまり、信頼性がないのです。信頼されて…

人を励ますウソ

3月20日(水)にEテレで「最後の講義『落語家 桂文枝』」という番組が放送されました。文枝さんが語るエピソードは、面白くて教訓になるものでした。 なかでも、医学部1年生の方の質問に対する文枝さんの経験談には驚きました。 質問の要点は次のとおり…

「あのー」「えー」の意外な効用

先日BS放送で、だいぶ前に収録された松竹新喜劇を鑑賞しました。喜劇役者で有名な藤山寛美さんが、意外にもセリフの中で「あのー」をよく使っておられることに気づきました。ところが、劇場にいるお客さんはそういうことには気づかないくらい楽しんでおら…

アサーティブとは?

自己表現の態度にはアグレッシブ、ノンアサーティブ、アサーティブの三つのタイプがあると言われています。 第一のアグレッシブとは、自分の気持ちや意見を一方的に主張する攻撃的な自己表現で、良好な人間関係を築きにくい傾向にあります。 第二のノンアサ…

百万ドルの小切手!

デール・カーネギーさんは著書「人を動かす」(創元社 文庫版 2016年)の中で、人の心をとらえるには、相手が深い関心を持っていることを話題にすべきだと説いています。 事例の一つとして、ボーイスカウトの仕事をしているエドワード・チャリフさんの手紙を…

ロバート・アイガーがスティーブ・ジョブズに「ピクサーの買収」を提案する

ウォルト・ディズニー・カンパニー元CEOのロバート・アイガーさんの著書「ディズニーCEOが実践する10の原則」(早川書房 2020年)を拝読しました。アイガーさんの平社員時代からディズニーCEO時代に至るまでの数々のエピソードが散りばめられた著…

スピーチも逆転の発想で

志賀内泰弘(しがない やすひろ)さんの著書「元気が出てくる『いい話』」(グラフ社 2004年)によると、著者は土砂降りの日に披露宴のスピーチを頼まれたそうです。スピーチは主賓から始まり、著者は最後の6番目に登場する順番になっています。 主賓のスピ…

一貫性の原理とは?

ロバート・B・チャルディーニさんが、名著「影響力の武器 第二版」(誠信書房 2007年)*1の中で提唱しているものの一つに、一貫性があります。 一貫性の原理とは、自分の言葉、信念、態度、行為を一貫したものにしたい、あるいは、他人にそう見られたいとい…

返報性の原理とは?

返報性の原理とは、人から親切にしてもらったときに「同等のお返しをしないといけない」と感じる人間にとってごく自然な心理現象のことです。ロバート・B・チャルディーニさんの名著「影響力の武器 第二版」(誠信書房 2007年)*1に、この返報性について詳…

どのように謝るか?

経営コンサルタントの堀紘一さんは、著書「突破力!」(PHPビジネス新書 2006年)の中で、「営業マンが取引先の社長の名刺をその会社の前で落としてしまい、それを見た社長に激怒された」というピンチに遭遇した場合の対処法を述べています。 営業として…

しゃべりすぎる

お酒に酔うと僕はつい朗らかになって、受け狙いで止めどなくしゃべりすぎる傾向があります。これは、人の話を聞かない一種の悪い酒癖でしょう。 普段は、「7つの習慣」(スティーブン・R・コヴィー著)という著書に記されている「理解してから理解される」…

大筋で同意を得られたら、細部は譲ってもよい

会議や交渉の場で僕が常套手段としているのは、「大筋で同意を得られたら、細部は譲ってもよい」ということです。 制度改正やマニュアル制定を会議に諮ったことがありました。その際ほとんどのケースで、文章を修正したほうがよいとか、図表を付けたほうがよ…

フラットな目線とは?

サッカー選手の長谷部誠さんは著書「心を整える」(幻冬舎文庫 2014年)で、常に「フラットな目線」を保つべきだと述べています。 「フラットな目線」とは、「上から目線」でもなく「下から目線」でもありません。相手と対等な関係にあるコミュニケーション…

「伝える」と「伝わる」の違いは?

コンサルタントの室井俊男さんの著書「『できる上司』と『ダメ上司』の習慣」(明日香出版社 2013年)の中に、次のような習慣の違いが記されています。 できる上司は「伝わる」を重視し、ダメ上司は「伝える」を重視する。 「伝える」と「伝わる」は違うので…

「自ら情報を遮断してしまう壁」がある

養老孟司さんは著書「バカの壁」(新潮新書 2003年)の中で、自分から情報を遮断する壁が存在すると述べています。 北里大学薬学部の学生(当時、女子6割強・男子4割弱)に、ドキュメンタリー番組を見せたところ、著者はそう実感したとのです。イギリスの…

「デメリットを伝える」ことはメリットか?

デザイナーの佐藤オオキさんは、著書「問題解決ラボ」(日経ビジネス人文庫 2020)の中で、「デメリットを信頼に変えていく伝え方のコツがある」と述べておられます。 それは、たとえ1%でもデメリットがあれば必ずオープンにするということ。 責任逃れや保…

「ポストイットのプラスアルファの効果」とは、どんなことですか?

ポストイットは貼ったり剥がしたりできる付箋のことですが、その用途にプラスアルファされた効果を説明します。 コピーライターの川上徹也さんは、著書「文章の鬼100則」(明日香出版社 2021年)の中で、サム・ヒューストン州立大学のランディ・ガーナー…

「気が抜けたビールのような文章」とは何でしょうか?

ブログを更新する間隔が開いてしまいましたが、僕自身は「気が抜けた」わけではありません。 「気が抜けたビール」とは、炭酸ガスという気体が抜けてしまったビールのことを言います。一般的に美味しいと思う人は少ないでしょう。 コピーライターの川上徹也…

仕事で相手の「心」を楽にするには、どうすれば良いでしょうか

田坂広志さんの著書「仕事の技法」(講談社現代新書 2016年)に記されている事例を参考にして説明します。 ある朝、重要で緊急かつ煩雑な仕事を遂行する必要が生じました。課長は、表情や雰囲気に厳しさをにじませながら、AさんとBさんを呼びました。 そし…

交渉には極意のようなものがあるのでしょうか?

ハーバード大学では「交渉」を学問的にとらえて、ロースクールで交渉術を教えているそうです。齋藤孝さんと射手矢好雄(いてや よしお)さんの対談で綴られた著書「うまくいく人はいつも交渉上手」(講談社+α文庫 2014年)で、僕はそのことを知りました。 …

本は、買って読むべきですか、図書館で借りるべきですか?

本には、情報や知識という高い価値があります。 全体最適の観点からいうと、本は買って読むべきです。 みんなが図書館で借りるようになると、図書館が超満員になってしまいます。また、本の著者だけでなく、出版社や印刷製本会社も経営が成り立たなくなって…

難しい文章は、どうやって読めばいいのでしょうか?

外山滋比古さんは、著書「読みの整理学」(ちくま文庫 2007年)の中で、既知の物事を読む場合と未知の物事を読む場合とでは、文章の読み方が違うと述べています。 既知を読むには、文字さえわかればよい。ときには、その文字ですら明確にとらえられていなく…

場の雰囲気は強い印象を与えるのでしょうか?

コミュニケーションの方法には、「バーバルコミュニケーション」と「ノンバーバルコミュニケーション」の二つがあります。バーバルコミュニケーションは、言葉のみによって自分の考えや情報を相手に伝える方法です。これに対し、ノンバーバルコミュニケーシ…

「仮に」と前置きして提案することは有効でしょうか?

臼井由妃さんは「やりたいことを全部やる! 言葉術」 日経ビジネス人文庫 2020年)の中で、「仮に」と前置きして提案することについて 交渉の場で膠着状態に陥ったとき、空気を変え一気に決める、有効な策 と述べておられます。 中村信仁さんは、「営業の魔…

交渉で「検討します」と言われたとき、どう返答すればよいのでしょうか?

先方が「検討します」と言ったとき、先方はまだ肯定も否定もしていません。ただし、「今は決断しない」ことを、先方は決断したことになります。また、暗に「お断り」をほのめかすために、「検討します」を言う場合もありましょう。 当方としては、「今、決断…

イエス・バット話法はもう古いのでしょうか?

イエス・バット話法とは、先方の意見をいったん「イエス」と肯定してから、「バット」と当方の意見(反論)を返す話法のことです。つまり、先方の意見を受け入れるという「クッション」をはさんでから、反論を述べる話法です。 いくらクッションをはさんでも…

交渉中に沈黙ができても良いのでしょうか?

スティーブン・R・コヴィー著「7つの習慣:成功には原則があった!」(キングベアー出版 2009年)*1の中に記されている「理解してから理解される」という習慣を念頭において、僕は交渉事に当たってきました。つまり、まず聴くことです。 当方からオファーを…

交渉テクニックを使うべきなのでしょうか?

先日、歯の詰め物が外れたため、2年前まで通っていた歯科医院さんに電話をかけました。 今なら空いていますとのことで、すぐに歯科医院を訪れました。 助手さんの見立てでは、おそらく詰め直せますとのこと。2年のブランクがあるため、歯全体のレントゲン…

「憎めない人」は出世するのでしょうか?

ムーギー・キム著「最強の働き方」(東洋経済新報社 2016年)は、一流の働き方の心得を約380ページに渡って述べられた著作です。 しかし、第1章の章末コラムによると、「憎めない人」、言い換えると「まわりと温かい人間関係を築いた人」でないと、一流…