時々ニュースなどで労災認定について報道されます。
国の労災保険がいったん認定されると、被災労働者や遺族にとっては非常に手厚い制度なのです。民間では保障リスクが大きすぎてマネのできない公的保険制度です。
まず、治療費については、健康保険では自己負担3割ですが、労災保険では原則として自己負担はありません。単に3割負担が無料になるというだけの話ではないのです。被災労働者の容態によって医師が判断し、いくらお金がかかるかわからないような高度な治療を施されても、自己負担はないということです。
また、療養のため仕事ができない期間については、治るまで定められた所得保障が行われます。健康保険の傷病手当金では、支給開始日から通算して1年6か月と支給期間が限定されたものとなっています。しかし、労災保険は期間の限定がないのです。
障害が残った場合は、厚生年金や国民年金の制度を上回る保障があります。
不幸にして被災労働者が亡くなられた場合は、一定の遺族に対して手厚い保障もあります。
しかしながら、事業主が労災保険に入る手続をしていなかったり、保険料を納付していなかったり、あるいは事業主の故意や重大な過失により業務災害を発生したりした場合は、費用の全部または一部を事業主から徴収されることになっています。
このようなことから、労災保険の手続や保険料の納付は確実に行い、職場の安全衛生管理にも気を配る必要があります。
一方、労災保険は労働者を対象とした制度ですが、このような良い制度ですので、経営者でも入りたい方がいらっしゃいます。そこで、一定の中小事業主などを対象とした労災保険の特別加入制度があります。