仕事力

心に響く自己啓発

「@(アット)変換」とは何でしょうか?

若い頃に統計の仕事に携わったことがありますが、統計学は数学のハードルが高くて苦手です。

僕が統計の仕事でよく用いたのは、時系列でデータを見ることと、同業他社などの統計データと自社のデータを比較することくらいでした。同業他社のデータや業界のデータが自社の振る舞いを評価する指標となりました。

たまたま、斎藤広達(こうたつ)さんが著された「統計学レーニング」(PHPビジネス新書 2022年)に出会いました。

斎藤さんは「数字に強い人」には特徴があると述べておられます。

それは、「数字を自分事にすることに長けている」ということ。わからない数字があれば、それをどうやって具体的にイメージできる数字に変換するか、自動的に考えるクセがついているのです。

その「クセ」については、次のように述べておられます。

私がぜひ「クセ」にしてほしいと思っている平均計算があります。それは「1人当たりの平均値を出してみる」こと。これを「@(アット)変換」と呼びます。

たとえば、日本の国家予算107兆円、日本の人口1億2000万人とすると、予算額を人口で割って1人当たり約89万円という数字を出します。このように@変換したことによって、大きすぎる数字がイメージできる数字になり、自分事となります。

また、会社の売上高も従業員数で割ってみると、1人当たりの売上高となり、イメージしやすくなり、他社との比較も容易になります。

僕は、金融の仕事をしていたので、土地や建物の値段を、平方メートル当たりの価格や坪(3.3㎡)当たりの価格に換算して評価した経験があります。これも平均値を利用したものです。

ところが、@変換しても違和感を抱く場合があります。それは、一部にかたよった数字があるとか、標本数が少ないとかという場合です。そのような時は、「中央値」を調べるとよいと、斎藤さんは言います。

中央値とは、すべての人(標本)を並べたときに、そのちょうど真ん中に位置する人(標本)の数値を示すものです。

統計学には多種多様な分析手法があり奥が深いものですが、@変換と中央値というスキルを得るだけでも、少なからず数字に強くなれるのではないでしょうか。