日本経済新聞(2022年6月20日 春秋)に、小学5年の児童が質問した記事が載せられていました。
先だってNHKのラジオ番組「子ども科学電話相談」を聞いていて、はっとするような質問に出合った。「なぜ雨の日を『天気が悪い』と言うのですか?」。
一瞬、答えるのに戸惑うような質問ですが、回答者の気象予報士さんは次のように誠実に答えたそうです。
世の中には雨が好きな人もきらいな人もいる。けれどどちらかといえば都合の悪い人の方が多い。だから雨の日を「天気が悪い」と言うようになったのではないか。
夏井いつきさんによると、俳句界では「生憎(あいにく)の天気」はないそうです。夏井いつき著「夏井いつきの日々是『肯』日(ひびこれこうじつ)」(清流出版 2020年)
「俳人にとって生憎のお天気はない」とはよく言われる言葉だ。例えば中秋の名月のその夜、雲に隠れて月が見えなければ「無月(むげつ)」、雨が降れば「雨月(うげつ)」と名付けて、その季語の情趣を楽しむ。正月三が日に降る生憎の雨も、俳人たちは「お降り(おさがり)」と呼んで楽しむ。淑気(しゅくき)に満ちた雨の美しさを喜ぶ。
新聞の小学生も夏井さんも、「雨の日」をマイナスイメージで捉えていない点で一致しています。
雨が降ることによって、僕たちは飲み水を確保し植物も育ちます。雨の日に木や草花を見ると、晴れの日とは異なる趣があります。
物事を当初からマイナスイメージで捉えるのではなく、まずは「あるがままに受け入れる」ことが大切なのではないでしょうか。そして、是は是、非は非として受け入れること。それこそ、「日々是『肯』日」と言えましょう。