仕事力

心に響く自己啓発

「京都祇園もも吉庵のあまから帖」を読んで

書名:京都祇園もも吉庵のあまから帖

著者:志賀内泰弘(しがない やすひろ)

出版社:PHP文芸文庫

出版年:2019年

 

元芸妓のもも吉は、京都祇園で甘味処「もも吉庵」を営んでいます。お茶屋造りの外観で看板はなく、いわゆる「一見さんお断り」の小さな店です。メニューは「麩もちぜんざい」のみです。女将の娘、美都子も元は芸姑だったのですが、わけあってタクシードライバーに転職しました。そんな親子と祇園花街の人々が繰り広げる心温まる短編集です。

僕は、「麩もちぜんざい」というものを食べたことがありません。お餅ではなく、麩を使ったお汁粉のようなものでしょうか。物語では、栗ぜんざいや葛汁粉も登場します。

そんな「もも吉庵」を訪れるのは、さまざまな悩みを抱えた人たちです。女将の言葉で、訪れた人々の心が解きほぐされていきます。

教訓となった話があります。

1 人を指導するには「慈眼」を心得るべし

「『慈眼』というんはな、禅の言葉や。一言で言うと『思いやり』やな。人を諭すには『思いやり』が大切なんや。叱って伸ばす。それだけでは受ける方も辛い。時には褒めて伸ばす」

2 「頑張る」と「気張る」の違い

「『頑張る』いうんはなぁ。「我を張る」こと。つまり自分一人の頑張り、一人よがりのことやなぁ。それに対して、『気張る』いうんは『周りを気遣って張り切る』ことや。仕事は一人でできひん。周りの人たちを巻き込んで、助けたり助けられたりして、いろいろな考えを一つにまとめて自分の力を発揮することや」

3 「粋」の意味

「人情の機微に富んでいて、さっぱり気立てがええ人のことやろ。なんや困った人がおったり、失敗して面目が潰れてしもうた人を、粋なはからいで救えるようなお人のことや」

僕も悩ましいと思うことが多く、ぜひ「もも吉庵」のようなお店を行きつけにしたいものです。「麩もちぜんざい」も食べたいです。おきばりやす。