仕事力

心に響く自己啓発

「あのー」「えー」の意外な効用

先日BS放送で、だいぶ前に収録された松竹新喜劇を鑑賞しました。喜劇役者で有名な藤山寛美さんが、意外にもセリフの中で「あのー」をよく使っておられることに気づきました。ところが、劇場にいるお客さんはそういうことには気づかないくらい楽しんでおられます。

藤山さんの「あのー」に気がついたのは、僕自身が「あのー」の回数が多いと指摘されたことがあるからです。

「日本語の大疑問」(国立国語研究所編 幻冬舎新書 2021年)によりますと、「あのー」や「えー」は、話を唐突に感じさせない場つなぎ表現だと説明されています。

たとえば、「窓を開けてもらえませんか」と人に頼むと、ちょっと唐突に感じます。「あのー、窓を開けてもらえませんか」と言うと、「恐れ入りますが」などという心情も相手に伝わります。

同様に、「えー」という言葉もまた、話を始めたり話題を変えたりする際のクッション機能を果たします。

ニュース番組のアナウンサーのように流暢に話されると、ちょっと唐突に感じることがあります。唐突感をあまり受けすぎると、チャンネルを変えようかなという気分にもなります。

「あのー」や「えー」が多すぎるのも聞きづらくなりますが、適度にクッション言葉として用いると、唐突さがなく聞き手が受け入れやすくなるようです。

要は、あのー、「適度」ということが大切なのでしょう。