書名:田村はまだか
著者:朝倉かすみ
出版社:光文社文庫
出版年:2010年
先月拝読した「一万円選書」(岩田徹 著)に紹介されている著書です。
札幌、すすきのの狭い小路にある面積10坪くらいのスナック・バーが物語の主な舞台です。その夜そのバーには、40歳の5人の男女が客として来ています。客らは、小学校のクラス会の三次会に集まったのでした。
同級生の「田村」という男性が、大雪で列車が遅れて、クラス会の一次会・二次会に間に合いませんでした。5人の男女は、三次会でその田村氏と再会しようと、バーで待っています。
田村氏がなかなか来ないので、好みの酒を飲みながら、田村氏のことやそれぞれの半生などを語り合い、今か今かと待っています。小学校卒業以来の再会を楽しみにしているのです。
この物語は6話から成っており、第5話まで田村氏は現れません。第5話の最後のほうで田村氏が交通事故に遭い重症を負ったとの連絡が入ります。
最終話の第6話に入ると、5人の男女はタクシーで、田村氏の手術をしている病院に移動します。田村氏のダメージは大きく一時はどうなるのかという状態で、何か月も入院しました。
5人が幾度も訪れているバーのマスターの粋な計らいで催されたイベントに、回復した田村氏が登場しました。田村氏は「5人+マスター」に暖かく歓迎されました。やっとのことで、約束の三次会のバーに到着したのです。
読み進めても田村氏はなかなか現れず、どうしたのだろうかと心配しました。最悪の事態にならず、ハッピーエンドになってホッとしました。
ワクワク感やドキドキ感、じれったい気持ち、いろんな感情が入り交じる物語です。僕が一番感じたことは、「人生いろいろ、仕事もいろいろ」だなということです。小泉元総理のご発言にちょっと似たような感想になってしまいました。