スティーブン・R・コヴィーさんは、「Win-Winを考える」という習慣の必要性を述べておられます(「7つの習慣:成功には原則があった!」キングベアー出版 2009年)*1。
この習慣は、取引において交渉の両当事者に好ましい結果をもたらすことが必要だということです。一方の当事者が勝って、もう一方の当事者が負けるような取引は成立しない方がいいと言っています。
これに対して、「三方よし」は「売り手よし、買い手よし、世間よし」という商売の考え方であると理解しています。
次のような場合はどうでしょうか。
新入社員が上司に、「仕事がなかなか進まないので、勤務時間外に仕事をさせて欲しい。残業代は要りません」とオファーを持ちかけたとします。もし上司がこのオファーを受け入れると、あたかも、会社と社員の間で「Win-Win」の関係が成立したかのように見えます。
しかし、現行の労働法規では、いかなる理由があろうと会社は、残業をさせたら残業手当を社員に支払う義務があります。36協定が必要な場合もあります。新入社員と上司の取引は、違法な行為となりましょう。
ですから、「世間よし」についても十分気配りしないといけないでしょう。「両方」ではなく「三方」の「よし」を考えないといけないと、僕は考えています。