仕事力

心に響く自己啓発

組織は多数決で動くものでしょうか?

古い名著ですが、小林茂著「ソニーは人を生かす」(日本経営出版会 1965年)の中に、社員食堂における代金の精算問題があります。

代金の精算に時間がかかっていることが原因で、昼休みの社員食堂が非常に混んで行列ができる。そのため、本来の休み時間が短くなってしまう。そこで、ソニー厚木工場の工場長は、店員を置かず、食べ物の代金を社員が自主的に精算すればどうかと、工場の幹部たちに提案しました。

これに対して、「性善説ではどうにもならない」と、幹部は全員、反対の意見を述べました。

工場長は、人間の行為は信じないけれども、人間そのものは信ずると考え、結局、社員全員の場で、代金の自主精算を相談することになりました。

「われわれの誇りでもあるし、喜びでもあるのではないか。きっとできると思うが、一つやってみようではないか。」

このようにして、ソニー厚木工場における食堂代金の自主精算方式は成功しました。(現在なら、ICカードなどもあり、こういう問題は生じないかもしれませんが。)

また、丹羽宇一郎さんも、「仕事と心の流儀」(講談社現代新書 2019年)の中で、こう述べておられます。

組織のトップやリーダーは、周囲とは反対のことも考えなければいけないことがあります。

組織は多数決で動くものではありません。リーダーの力です。

リーダーの責任は重い、リーダーには普通の人以上に仕事力が求められると、僕は痛感しました。人は常に、見聞を広め、自己啓発に努めなければならないとつくづく思います。