建築家の安藤忠雄さんは、大学に進学せず独学で建築を学んだ方です。
安藤さんの著書「安藤忠雄 仕事をつくる」(日本経済新聞出版社 2012年)によると、JR京都駅の大階段を見上げるたびに、優れた建築への素直な感動とともに、悔しさも込み上げてくるそうです。1991年、新しい京都駅の国際建築コンペ(設計競技)に参加し最終選考まで残りましたが、残念ながら落選したのです。
コンペは建築家にとって真剣勝負だから、思うようにはいきません。落選という厳しい現実を突きつけられることも、たびたびあります。別の著書「建築家 安藤忠雄」(新潮社 2008年)には、著者は次のように述べています。
厳しい現実に直面しても、決してあきらめずに、強か(したたか)に生き抜こうとする、生来のしぶとさなのだと思う。
著者の建築家としての輝かしいキャリアは、優れた芸術的資質ではなく、敗北から学んだものです。創造性を働かせ、しぶとく挑戦することを繰り返すことにより、道が開けるようです。
成功する経営者は、とにかく「しぶとい」と聞きます。テレビドラマ「陸王」の社長もしぶとかったですね。少々の障害があってもへこたれません。
その点、僕は潔いです。潔すぎます。
昨年末、孫の家へ用事で一人で出かけました。少しの時間、孫と遊ぼうとしたのですが、孫の心をとらえられません。挙げ句の果てに「じーじとバイバイしたい」と言われ、すごすごと帰りました。帰宅してから妻に、粘り強さが足りない、工夫が足りないことを言われました。
人生、しぶとく歩んできたつもりでしたが、まだまだ「しぶとさ」が足りません。障害があっても、すぐにへこたれず、それを楽しむぐらいの心構えが必要だなと大いに反省しました。