人財募集の単行本を見つけました。公認会計士の金川顕教(かながわ あきのり)さんが著された「金川流人財募集要項」(秀和システム 2019年)という本です。どういう人財募集かと申しますと、就職ではなく、起業し著者たちの経営者仲間に加わりませんかというものです。
45項目の募集条件があり、一言で表すと、強い願望を持ちポジティブに思考し行動できることと、僕は解釈しました。僕にはちょっときついかなと思いますが、二つだけできるかも?という項目がありました。
条件8 余裕のある「ふり」ができる人
条件21 楽しそうに生きている人
(条件8ついて)
金銭面や時間などの物理的余裕がなくても、心に余裕を持つことが大切です。心まで余裕をなくしてしまったら、人生好転の機会を失うことになります。だからせめて、演じ方だけは余裕があるようにしましょう。120%の力を見せる必要はまったくありません。実は100%の力があるのに、行動の仕方によっては50%くらいの力しか伝わらないことが多いのです。
(条件21について)
どんな厳しい環境でも楽しそうに生きていける人を募集しています。起業してから成果が出るまでの期間、楽しそうに振る舞った人は成功しやすいようです。
心理学や哲学で有名なウィリアム・ジェイムズさんは、著書「ウィリアム・ジェイムズ著作集・1 心理学について」(日本教文社 1960年)の中で、行動と感情と意志の関係を次のように述べています。
実は行動と感情とは一緒に相ともなって表れるものなのであります。そして感情は意志の直接的統制をあまり受けないのでありますが、行動は意志の直接的統制を受けることが多いので、行動に規制を加えることによって、我々は間接的に感情を規制してゆくことができるのであります。
かような次第で、もし我々の自然的な快活さが失われた場合には、意識的な努力によって快活な気分に到達するための最も勝れた方法は、快活に座り、快活にあたりを眺め、あたかも快活な気分がすでに心にあふれているかのようにふるまったり語ったりするということなのであります。
つまり、直接的に意志によって、余裕や楽しいといった感情をコントロールできません。しかし、意志によって余裕のあるふりや楽しそうだという行動をコントロールすることはできます。ポジティブな行動を通じて、間接的に感情をポジティブにすることができるのです。
余裕のある演技、楽しそうに生きている演技を続ければ、いつか、本物になれるかもしれませんね。