先方が「検討します」と言ったとき、先方はまだ肯定も否定もしていません。ただし、「今は決断しない」ことを、先方は決断したことになります。また、暗に「お断り」をほのめかすために、「検討します」を言う場合もありましょう。
当方としては、「今、決断できない」先方の事情を知りたいところです。「どうして今、決められないのですか」とストレートに聞きたいですが、先方に不快感を与えてしまう恐れがあります。
中村信仁さんは、「営業の魔法」(ピーコミュニケーションズ 2007年)の中で、「検討します」に応酬するコツを述べておられます。
コツは、一度白旗を掲げるところにあります。『分かりました。ご検討下さい。(もう売り込みません)だから、本当のところを聞かせてください』という具合に。
反論を述べないイエス・バット話法の応用です。先方の「検討します」をまず肯定します。「よくご検討ください」と。
その上で、本当のところはどうなのかと、率直に明るく先方の本心を質問したら良いと思います。
そうすれば、交渉が成立するかどうか、ほぼ判断できるでしょう。
交渉がすべて成立とは言えません。けれども、ここで述べた応酬話法を活用することにより、交渉成立の可能性が高まるものと思われます。