ポストイットは貼ったり剥がしたりできる付箋のことですが、その用途にプラスアルファされた効果を説明します。
コピーライターの川上徹也さんは、著書「文章の鬼100則」(明日香出版社 2021年)の中で、サム・ヒューストン州立大学のランディ・ガーナー教授により研究された「ポストイット効果」を紹介されています。
実験研究は、大学内の教授たちを3グループに分けて、アンケートなどを配布する形で行われました。3グループとも、配布される「印刷の依頼文」と「アンケート用紙」は同じものです。
グループ① 印刷の依頼文とアンケート用紙のみ。
グループ② 印刷の依頼文の右上に、「少しお時間をいただきますが、アンケートにご協力ください。感謝します!」と手書きで書いたもの。
グループ③ 印刷の依頼文は同じ。アンケート用紙にポストイットを貼り、②と同じ文章を手書きで書いたもの。
結果、各グループのアンケート回収率は次のようになりました。
グループ① 36%
グループ② 48%
グループ③ 76%
ポストイットに手書きで「お願いと感謝のメッセージ」を書いて貼った場合(グループ③)は、手書きのメッセージを何も書かなかった場合(グループ①)と比較して、回収率が2倍以上になる効果を確認できました。グループ②と比較しても、圧倒的に回収率は高いです。これが「ポストイット効果」です。
我が家の郵便ボックスには、チラシやDMがよく入ってきます。
しかし、チラシやDMにポストイットを貼ったものを見たことがありません。
手書きの文章をチラシに印刷されたものは、時々見かけます。印刷された手書きの文章であっても、ちょっと覗いておこうかなという気持ちにはなります。
手書きしたポストイット付きのチラシをポスティングすれば、受け手の立場から見ると、チラシが目に留まりやすいのではないでしょうか。
ただし、デメリットもあります。
・ポストイット1枚1枚に文章を手書きするのは、時間と労力、コストを要します。
・同じ配布先に同じ文章のポストイットを貼ったチラシでは、効果が薄れると思われます。