仕事力

心に響く自己啓発

「復活への底力」を読んで

書名:復活への底力 運命を受け入れ、前向きに生きる

著者:出口治明立命館アジア太平洋大学(APU)学長)

出版社:講談社現代新書

出版年:2022年

 

著者が入院なさったという報に接した時、当時は病名も知らず、ただただ早期回復をお祈りするばかりでした。この著書により、その闘病の様子を詳しく知ることができました。

著者は2021年1月9日、脳卒中で倒れてしまいました。一命を取り留めたものの、重い右半身麻痺と失語症が後遺症となりました。1年余りのリハビリ闘病生活を経て、2022年4月にAPU学長として職場復帰されました。

歩けない、右手が動かない、話せないという病状からどうやって立ち直られたのでしょうか。その要因は、何としても学長に復帰したいという熱意と著者の考え方にあったと思われます。「はじめに」の中で、著者は次のように述べています。

人生にはどうしようもないことが山ほど起こります。「自分はなんて不幸なんだ、不運なんだ」と嘆いても仕方がありません。

それがわかれば自分の身体に障害が残った事実をありのままに見つめ、その変化に適応するだけのことです。

自立した日常生活に戻るだけでも難しいのに、著者は職場復帰というもっと高度な目標を掲げてリハビリに励みました。その結果、医療従事者さえも困難ではないかと考えた職場復帰を、彼は見事に実現しました。

この本を読まずに僕が大病を患ったら、おそらく「もうダメだ。お先真っ暗だ」と嘆くばかりでしょう。でも著者の振る舞い方を学んだので、「現状を受け入れ、その変化に適応しよう」と、僕でも少しはそういう考え方ができるかなと思います。

そもそもですが、著者が罹病された一因として、血圧測定をしなかったことが挙げられます。血圧が高いので、毎日血圧を測るようにと医師に言われていましたが、面倒臭さから測らなかったそうです。著書には褒められたことではない旨が記されています。

医師など、専門家の言うことは、基本的に真摯に受け止めるべきだと思います。健康診断でもそうですが、「要精密検査」などと注意すべきことが診断書に記載されていたら、まじめに受診しないといけないです。僕も早期発見で助かったことがあります。