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オンリーワンを目指すには?

地球科学者の鎌田浩毅さんの著書「揺れる大地を賢く生きる」(角川新書 2022年)によると、東大と京大の教育法が根本的に違うみたいです。

東大では、社会に出て恥ずかしくないようにと、学生が100人いたら100全員に厳格な教育を施します。一方京大では、100人の学生のなかに面白い学生が1人いればそれでいい、という考え方をします。また、京大出身者は多数派の人たちと同じことをやりたがらず、とくに東大出身者と同じことは、まずやりません。

 

京大のお家芸は、他の人があまりやらないスキマを探して研究することです。このスキマは、空白がすでに存在しているということではありません。「今は見えていないけれど、将来的に人が欲するだろう」というスキマです。

著者は東大出身者ですが、京大で教鞭をとられている方です。面白いこと、好きなことだけを追求しすぎてもいけないと述べています。著者は火山学が好きな分野ですが、この分野には多くの研究者がいます。そこで、地球科学や地震などに関する防災知識を一般の人たちにわかりやすく伝えることに力を入れているそうです。難しいことを「わかりやすく伝える」ことは、容易ではなく、それをやる人はほとんどいないそうです。

目的を実現するためには、戦略的な勉強が必要です。著者は専門外のマーケティングを勉強されました。たとえば、「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント」(丸善出版)やデール・カーネギーの「人を動かす」(創元社)を読まれました。

マーケティングを知ってからは、専門家向けの論文を書く習慣が色あせて、読む人、聞く人に関心を持ってもらうことに力を入れるようになったそうです。

 

多くの人が参入している分野でナンバーワンになることは難しい、スキマを見つけてオンリーワンを目指すのも一つの道ではないか、とも思われます。しかし、そのスキマを探し出すことも容易ではありません。

多くの出会いのなかで偶然、自分でも取り組めるスキマが見つかるかもしれません。人生で出会うことすべてに意味があると考えて楽しみながら、オンリーワンを目指していくことが大切でしょう。