論文名:自分の人生を「成功」に導く-正しい物差しで生き方を管理する
著者:クレイトン・M・クリステンセン
出典:「自分を成長させる極意」ダイヤモンド社 2016年
発表年:2010年
【あらまし】
ハーバード・ビジネススクールの授業で、著者は、学生たちに今まで学んできた理論を学生自身に当てはめて、「3つの質問」に適切な答えを出すように求めました。
第一の質問 「どうしたら幸せなキャリアをしっかりと歩めるか」
第二の質問 「どうしたら家族との関係をゆるぎない幸福の源にできるか」
第三の質問 「犯罪者にならないためにはどうしたらいいか」
(言い換えると、どうすれば誠実な人生を送れるか)
第一の質問について著者の洞察を、僕は次のように解釈しました。
お金ではなく、学び、成長し、責任を担い、成果を認められ、組織の成功に貢献すること。
第二の質問の洞察については、僕はこう解釈しました。
人生に明確な目的を持った上で、自分の時間と才能、そしてエネルギーをどう使うかを決めること。
「職業を選択し、その仕事で成功することは、自分の目的を達成する一つの手段にすぎない」
と、著者は述べています。
第三の質問の洞察を、僕はこう解釈しました。
「この状況なら一度くらい許されるだろう」という誘惑に打ち勝つこと。
「なぜかというと、人生は『例外が許されてもいい特別な状況』が果てしなく続くものだからだ」
と、著者は述べています。
著者からのアドバイスが二つあります。
1 「謙虚」であることの大切さを忘れない
「謙虚さは卑屈な行動や態度ではなく、他者を敬う気持ちから生まれるものだ」「すべての人から何かを学ぼうという意欲があれば、学習の機会は無限に広がる」
と述べています。
2 「正しい物差し」を選ぶ
「自分がどれだけ高い名声を得られたかに気をやむことはない。そうではなく、どれだけ他者がよりよい人間になるよう助けたかを気にすべきである」
と述べています。
【教訓】
著者は、名著「イノベーションのジレンマ」を著した方です。
第一の質問は、ビジネススクールなら当然ありうる問いです。
第二の質問の意図は、著者の同級生で離婚し子どもと疎遠になり不幸せになっている方が増えていることにあります。
第三の質問は、著者の同級生で服役した方が数人おられることから発せられたものです。
著者の二つのアドバイスも教訓となりました。
謙虚であることは他者を敬う気持ちから生まれること、人生に正しい物差しを持つことは、いずれも肝に銘じたいと思います。