松下幸之助さんの著書「人生心得帖/社員心得帖」(PHPビジネス新書 2014年)を拝読しました。表紙をめくると、「初心を忘れず」という著者の直筆の写しが掲載されています。壁にぶつかった時、入社した時の心境を思い出したいものです。
著者は「社員心得帖」の中で、サラリーマンで成功する秘訣があると述べています。
会社に入って、将来必ず重役になれるというと少しいいすぎかもしれませんが、少なくとも部長には間違いなくなれるという秘訣があります。
結論から言うと、自分の会社をほめるという態度、心がまえに終始している人が該当するそうです。
入社した早々、帰宅して家族に会った時、入った会社のことをどのように話すか、というところからスタートします。「詳しいことは分からないが、なんとなくいい会社のように思う。がんばってみたい」というようなことを伝えられるかどうかが、第1関門なのです。「いい会社だ」と言えない人は成功しにくいと、著者は述べています。
やがて友人にも会うでしょう。お互い会社の話をして、「いい会社だ」と言えば友人も一目おいてくれます。
また、親戚のところに行く機会もあるでしょう。そうした時に、「自分の会社はこういうものを扱っています」と、会社をほめながら説明できることです。親戚の人にいい印象が残ります。
会社をほめていると、自分が知らない間に人から人にその評判が伝わり、ひいては会社の業績向上にも貢献します。ところが、自分の会社をほめず、不平不満をこぼす人が案外多いのです。
実は、自分の会社をほめてくれるような社員を、会社は切実に求めているものです。会社をほめてくれる人にこそ重要なポストについてもらいたいと、会社は考えています。
僕は若い頃に、この「社員心得帖」を拝読しました。しかし当時は、目の前の仕事をどのようにこなすかに集中していて、こういう大切なものの見方を理解できていませんでした。
この著書は新入社員だけでなく、中堅社員や幹部社員も読み手の対象としています。とくに若い人に、大切な考え方を学ぶ意味でご一読なさることをおすすめしたいと思います。