仕事力

心に響く自己啓発

「厳しさ」から「丁寧さ」への転換

最近は各種の「ハラスメント」が注目されるようになりました。パワハラ、セクハラだけでなく、マタハラ(マタニティハラスメント)やカスハラ(カスタマーハラスメント)という言葉も一般的になりました。ハラスメントが起きると、重大問題となります。

先日拝読した「七つの会議」(池井戸潤著 集英社文庫 2016年)では、エリート課長が勤務態度の良くない年上の係長に厳しい指導を続けた結果、パワハラ問題が発生した出来事がありました。

指導は必要なものですが、上司が部下に、あるいは先輩が後輩に、指導する場合不用意に厳しい言葉を浴びせると、ハラスメントになりかねません。ハラスメントにならなくても指導したものの、嫌われるのではないか、退職の引き金になるのではないかという心配もあります。つけ入る隙を見せてはいけないのです。かといって、指導する以上、ある程度の厳しさは伴うものだという考え方もあります。いったいどのように指導すれば良いのでしょうか。

研修会社を経営する伊庭正康(いば まさやす)さんは、著書「できるリーダーは、『これ』しかやらない」(PHP研究所 2019年)で、単なるハラスメント対策ではなく、より積極的な指導法を提唱しています。

「厳しく伝える」のではなく、「丁寧に伝える」のです。

つまり「伝える」方法を改善した指導方法なのです。厳しいお説教は禁物です。

まず、「なぜ、その仕事をやるのかということ」「具体的な手順」を丁寧に伝えることが必要です。

そして、次のように丁寧に確認していくことです。

「その指示を聞いて、どう思ったかを確認する」

「不安な点、不明な点がないかを確認する」

「その後も定期的に確認の場を設ける」

甘やかすのではありません。指導を受ける側には、「まずは、きちんと教えて欲しい」という本音があるからです。

僕は、「期待をかける」ことも効果があるのではないかと思います。

デール・カーネギーさんは、著書「人を動かす」(創元社 文庫版 2016年)において、「期待をかける」という原則を提唱しています。

R・ローゼンタールさんは、教師が生徒に「期待をかける」ことで成績が上がるという「ピグマリオン効果」を発見しました。堀公俊さんは、著書「職場と仕事の法則図鑑」(日経文庫 2020年)で、このピグマリオン効果は仕事の依頼をするときにも応用できると述べています。

仕事を依頼する理由などを伝え、確認のコミュニケーションを心がけ、期待をかけることで、部下や後輩への指導がより効果的なものになるのではないでしょうか。一言でいうと、「厳しさ」から「丁寧さ」への転換なのです。

 

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