ハーバード大学では「交渉」を学問的にとらえて、ロースクールで交渉術を教えているそうです。齋藤孝さんと射手矢好雄(いてや よしお)さんの対談で綴られた著書「うまくいく人はいつも交渉上手」(講談社+α文庫 2014年)で、僕はそのことを知りました。
射手矢さんはハーバード大学ロースクール出身の弁護士で、一橋大学法学部で交渉論の教鞭を執っておられるそうです。
なお、ハーバード大学で研究されている交渉術を、我が国では「ハーバード流交渉術」と言われているそうです。
ハーバード流交渉術の基本となるポイントは7つです。
① 利益 「お互いにとって本当に大切なことって何?」
② オプション 「どんなやり方があるのか?」
③ 根拠 「それはどうして?」
④ BATNA*1 「それがだめでもこの手があるさ」
⑤ 関係 「自分と相手はどんな関係?」
⑥ コミュニケーション「こっちはこう思っているけど、あっちはどうなのか?」
⑦ 合意 「本当に満足?」
交渉には、これら7つの要素が絡み合っています。フレームワークのように活用すると、交渉がうまくいきやすいそうです。
しかし、要素が7つもあると複雑です。とくに重要な「利益」「オプション」「BATNA」の3要素に絞り込んで交渉に臨んでもよいそうです。ここで大切なことは、当方の3要素だけでなく、先方の3要素も並行して考えることです。
ちなみに、利益は「お互いにとって本当に大切なことって何?」という意味ですが、この利益に焦点を当てると、応募学生が「就職したいのか、あるいは、働きたいのか」、会社の人事担当者にはわかるそうです。単に就職試験に合格したいだけなのか、ずっと仕事をしていきたいのかといった発想の違いです。
僕は大学で交渉術を教えてもらった経験はありません。ハーバード流交渉術に関わらず、大学の一般教育の場で交渉のやり方や考え方というものを学生に教えるべきだと、僕は思います。
僕が職務経験から学んだ交渉術の基本は次の3点です。
① 目的と仮説を持って交渉に臨む
② 事前に譲歩できる限界を検討しておく
③ まず先方の話を理解し、三方よしを考える
ハーバード流交渉術とは立て付けが違いますが、同じような趣旨だと思います。
*1:英語のBest Alternative To a Negotiated Agreementの頭文字を取った略語で「バトナ」と読み、「代替案」と訳されています。