仕事力

心に響く自己啓発

人間社会における競争とは?

大竹文雄さんの著書「競争社会の歩き方」(中公新書 2017年)によると、NBAのプロバスケットボール選手だったマイケル・ジョーダンは、野球やアメリカンフットボールも得意で、子供の頃からスポーツが万能だったそうです。彼は現役時代、一度だけ野球のメジャーリーガーに挑戦しました。残念ながら、その夢は叶いませんでした。

マチュアレベルなら、一人の強者がすべてのスポーツにおいてトップを独占することができます。しかし、プロレベルの熾烈な競争の下では、自分の最も得意なものに特化し集中しない限りトップを取ることはできないのです。

競争という言葉は、否定的な意味でとらえられることが多いですが、大竹さんは次のように述べています。

競争の促進は、それぞれの長所を見出し、それを活かす方向へと人々を導き、結果として独占を阻止する契機となるということだ。

競争がないと一見、天国だと思ってしまいますが、人間社会は競争があって成り立っています。人間社会は競争の社会と言えます。

その競争が、自分だけ、人より一歩でも前に出ようとするものであっては、社会で役に立ちません。

人間社会で役に立つのは、良き仲間と連れ立って共に高め合う競争、あるいは、人との比較ではなく自分自身の内なる決意に向かって高める競争でなくてはならないでしょう。