仕事力

心に響く自己啓発

若いことはいいことでしょうか?

僕も若い頃は、徹夜をしてもへこたれない、少々無理をしても大丈夫でした。古希が近づいてきた今日この頃では、規則正しい生活習慣を心がけることが必要になりました。イベントに参加したり遠出をしたりする時は、体調の面で万全を期さければなりません。

仕事をする上でも、若さは武器であり、若いことはいいことなのでしょうか。

 

ところが、26歳で会社を上場された実業家の藤田晋さんは、著書「藤田晋の仕事学」(日経ビジネス人文庫 2014年)の中で、「ビジネスの場では若さは隠したほうがいい」「ビジネスの場では何より経験が重視される」旨を述べています。

重要な交渉において、相手方が若くて、いかにも経験が浅そうだったら、どうしますか。交渉を進めるのを控えるかもしれません。あるいは、「上の人に替わってください」とお願いすることになるかもしれません。

藤田さんは、できるだけ老けて見られるように、話し方や外見を工夫されました。話し方で最も効果的なのは、多くを語らないようにすることだそうです。頭髪や服装についても若さを隠すように細心の注意を払われました。

僕も若い頃に眼鏡店に行って、10歳老けて見られるようなメガネを欲しいと相談したことがありました。やはり、年配に見られたほうが仕事を円滑に進められると考えたからです。「普通は、若返りたいと相談を受けますよ」と眼鏡店で笑われてしまいました。

外見を工夫し、相手の話を聞いたふりをしても、交渉を進めると経験や知識の浅さが露見してしまいます。若くても、知識や技能など、足元をしっかり固めなければなりません。

 

僕が新入社員の頃、「相手の立場になって交渉しなさい」と上司や先輩から教えてもらいましたが、すぐには理解できませんでした。「相手の言いなりになってはいけない。当方の要求を伝えることが重要だ」と考えていました。容姿や言葉遣いから、すぐにお客様に「若いやつだ」と勘づかれました。

社会経験を積んだり、デール・カーネギーなどの本を読んだりして、「相手の立場になった交渉」とはどういうものか、ようやくわかるようになりました。こういうことを理解したこともあって、交渉事が上達しました。

 

若い人は、多少の失敗であれば許される若者の特権があり、活力あるエネルギーも持っています。冷静沈着に振る舞うことや謙虚であることを意識し、知識や技能を磨いて行動すれば、若さを活かすことができるのではないでしょうか。