コンサルタントの室井俊男さんの著書「『できる上司』と『ダメ上司』の習慣」(明日香出版社 2013年)の中に、次のような習慣の違いが記されています。
できる上司は「伝わる」を重視し、ダメ上司は「伝える」を重視する。
「伝える」と「伝わる」は違うのです。会話の場合で言うと、こういう違いがあります。
「伝える」とは、情報を聞き手に話す行動です。聞き手が理解したかどうかは確認されていない状態です。
一方、「伝わる」とは、自分が話した情報が聞き手に理解された状態を意味します。ビジネスシーンでも、指示・命令や報連相などで伝わったかどうかの問題が生じます。
僕がやってしまった悪い例です。サラリーマン時代、社内研修の講師を担当したとき、早口で資料を説明して終わってしまったことがあります。言い訳をすると、研修すべき分量が多い割に研修時間が十分に割り当てられていなかったからです。受講者に伝わったかどうか、わかりませんが、「伝えた」ことで満足してしまいました。受講者の方に「伝わる」という意識が欠けていました。これでは研修効果がないかもしれません。
「伝える」だけなら、比較的簡単です。口頭でも文書でもメールでも一方的に相手側に伝達すれば、一応OKです。
しかし、「伝わる」を重視する場合はひと工夫が必要です。
① 伝える内容を吟味して準備を整えます。結論から伝え、次に理由などを伝えるとベターです。物事の意味を伝えるだけでなく、相手の心に響くものでなければなりません。
② 相手が理解するのに必要な時間を確保します。
③ 相手が理解できていることを確認しながら進めます。
相手に「伝わる」ことを意識して、相手の立場になり相手の理解の程度を見極めながら、伝えていくことを目指したいものです。