仕事力

心に響く自己啓発

神々は何をご覧になっているのでしょうか?

P.F.ドラッカー著「プロフェッショナルの条件」(ダイヤモンド社 2000年)によると、著者は若い頃に、古代ギリシャの彫刻家フェイディアスの物語を読みました。フェイディアスが、アテネパルテノン神殿の屋根に立つ彫像を作った話です。
完成した彫像を見て、アテネの会計官は代金の支払いを拒みました。

「彫像の背中は見えない。誰も見えない部分まで彫って、請求してくるとは何ごとか」と。

フェイディアスは、こう答えました。

「そんなことはない。神々が見ている」と。

この物語を読んだドラッカーさんは、心を打たれ、こう肝に銘じたのです。

「神々しか見ていなくても、完全を求めていかなくてはならない」と。

ドラッカーさんは、書き始めた本を完全に近いものにしたいと述べています。

 

完全に近い成果物をつくるのは容易ではありません。また、必ず目標を達成できるかと聞かれても、「はい」と言える自信のある方は少ないのではないでしょうか。

しかし、熱意を込めて職務を遂行することは、比較的可能ではないかと思います。

 

以前、映画化された「海賊とよばれた男」を見ました。

旧海軍の石油タンクに残った石油(汚泥のようになった液体)を手作業で汲み上げる店員たちの姿を見ました。危険・汚い・きつい・臭い作業です。

この店員たちの姿を遠くから眺めて、「美しい」と言った人がいました。それは、見た人に、職務を遂行する「熱意」が通じたのではないかと、僕は思います。

 

神々もまた、成果となる作品や業績だけでなく、熱意を込めたプロセスもご覧になっているのではないでしょうか。