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介護サービスにおける創意工夫

2025年8月24日の東洋経済オンラインで、「デイサービス ラスベガス」というユニークな介護施設が紹介された。一般的な介護施設のイメージを覆し、カジノのような施設だ。関東、中部、九州地区で20か所展開しているらしい。

一般的なデイサービスでは、塗り絵や折り紙、計算ドリルなどのレクリエーションを行なうことが多い。機能訓練としての狙いがある。

そういうデイサービスに対して、「子どもみたいなことをしたくない」「もう施設に行きたくない」「近隣の人に施設に通っていることを知られたくない」といった要介護者の声が聞かれる。

「デイサービス ラスベガス」は、そういう声を反映して創意工夫に力を入れた。

1 送迎用の自動車は、施設の名前が書かれた白い車ではなく、ロゴが入っただけの黒いミニバンである。施設の車と察知されにくい。

2 施設の内外装は、介護施設らしからぬカジノをモチーフにしたデザインにされている。

3 介護従事者のユニフォームを一新した。ポロシャツやジャージが従事者の一般的な服装である。「デイサービス ラスベガス」の制服はユニークだ。男性は、カジノのディーラー風のベストをまとっている。女性用は、シンガポール航空キャビン・アテンダントの制服を参考にして作られたものだ。

4 一般的な施設と同様、リハビリ体操(当施設独特のストレッチ)は行なう。リハビリ体操に参加すると、「ベガス」という施設内通貨をもらえることが特徴だ。この「ベガス」を使って施設内で遊べる。

5 レクリエーションの時間には、パチンコ、麻雀、トランプゲームなど、「ベガス」を使用して、利用者がそれぞれ好きなことをして遊べる。手を動かしたり頭を使ったり数字の計算をしたりと、楽しみながら機能訓練ができる。

家族などに言われて「いやいや行く」のではなく、「デイサービス ラスベガス」では「行きたくなる」ような仕掛けが施されている。

ただし、こうしたカジノ型介護サービスには批判もある。

1 カジノのような遊びに税金を使うのはふさわしくない。

2 要介護者がギャンブル依存症になる危険性がある。

現に兵庫県などでは、カジノ型介護サービスに規制が設けられているらしい。

僕は71歳になった。厚生労働省が昨年12月に発表した健康寿命は、男性で72歳、女性で75歳だ。僕もいずれは介護施設のお世話になるかもしれない。パチンコ、麻雀などの勝負事は苦手だが、かといって病院みたいな介護サービスを受けるのは御免こうむりたい。要介護者になっても、死ぬまで楽しみたいものだ。

カジノ型介護サービスの賛否は別にして、楽しみながら機能訓練ができるよう、各介護施設が介護サービスを創意工夫することが望ましいと思われる。