妻から「床をそうじして」「お風呂をそうじして」などと頼まれる。そうじは、しんどい。僕は仕方なく歯を食いしばって、そうじをがんばる。こういう姿勢でせっかくそうじをしても、実はもったいないのである。そうじには心構えが大切だ。
志賀内泰弘(しがない やすひろ)さんの著書「なぜ『そうじ』をすると人生が変わるのか?」(ダイヤモンド社 2010年)を拝読した。自発的に真剣にそうじに取り組んでいると、思いがけずも会社の業績が良くなる、夢が実現する、人生が変わる、そういうハッピーな小説である。実例を参考にしながら著者なりに創作されたらしい。
しかし、逆は必ずしも真ならず。たとえば、会社の業績を良くするためという下心を持って、社長が社員に強制してそうじをやらせても、表面的に社内が多少きれいになるだけにすぎない。業績が向上するものではない。
会社のため、社会のため、みんなのためと誰かが率先して、奉仕の精神で社内や近隣の道路、公園などをそうじする。そうした美しい姿を見て、「これは素晴らしいことだ」「世の中の役に立つ」とほかの人々が共感して、いっしょにそうじに取り組む。そういう気運が大切なのだと思う。
そうじに真剣に取り組むと、どうしたら効率的にきれいにできるかという気づきや創意工夫が生まれる。また、世の中を快適にするためといった利他の精神や他者の立場になった振る舞いを養うことができる。
損得勘定抜きで自発的にそうじに取り組んでいると、仕事や公共の場でも、そうじで養った精神や振る舞いが活かせるのだ。そうじという取組みが回り回って、会社の業績や人生に良い影響を及ぼすものだと、この著書を読んで僕は解釈した。
利他、気づき、創意工夫、相手の立場になることなど、良い精神や行ないをそうじいう修行を通じて学ぶことができるのだ。「そうじ」に向き合う心構えが大切だ。