斎藤茂太著「この気くばりのツボ77」(知的生きかた文庫 2008年)によると、「『頑張って』の使い方に要注意」という気くばりのツボがあります。
ある会社の重役で、仕事も家庭も懸命にこなしてきた女性が、体調不良になったとき、「頑張ってね」と言われた時、「ほっといてくれ」と叫びたくなったそうです。
この女性の心情を察すると、体調不良に打ち勝とうと頑張っているのに、まださらに追い打ちをかけるように「頑張ってね」とは何ごとかと思うのでしょう。
臼井由妃さんも、「頑張れ」という言葉は励ましにならないと述べておられます(「やりたいことを全部やる!言葉術」日経ビジネス人文庫 2020年)。
応援や励ましを伝えたいのであれば、
「いいね!」
「いいじゃないですか!」
素晴らしい、素敵、最高……相手を認め称賛を込めてそう伝えたほうが、負担にならず伸び伸びと、前へ進めると思うのです。
僕も、最初に述べた重役の女性に対して「頑張って」は禁句だと思います。「確かにそうですね」「お身体を大切に」など、女性の闘病の努力に報いるような肯定的な言葉を用いるのが適切ではないでしょうか。