仕事力

心に響く自己啓発

「銀二貫」を読んで

書名:銀二貫

著者:髙田郁(たかだ かおる)

出版社:幻冬舎時代小説文庫

出版年:2010年

 

この本は、江戸時代の大坂を舞台としてビジネスと恋愛を描いた作品です。物語は、大坂天満の寒天問屋の店主が、天満宮再建のための大金、銀二貫を寄進しに行く途上から始まります。

ところが、侍による仇討ちの現場に遭遇し、父を亡くした少年を救うため、店主は収めようとしていた銀二貫を追手の侍に差し出しました。店主は質素な生活を続け、改めて銀二貫を寄進しようと努めますが、人助けのために貯まった大金をまたまた使ってしまいます。普段は始末しても、使うべき時は大胆に大金を使います。この物語では結果的に、そのお金が世のため人のために生きてきます。

少年は店主の下で商人として育てられました。外出の折、得意先の娘に思いを抱きます。大人になって立派な商人に成長しても、そのじれったいロマンスが続きます。

街を焼き尽くす大火が繰り返されたり、悪質な商人たちに商売の邪魔をされたりしますが、店主や少年たちはへこたれません。そして、寒天という商品のイノベーションマーケティングに成功します。

少年がまっすぐに成長していく姿が頼もしいです。また、”Cool heads but Warm hearts”(アルフレッド・マーシャルの名言)を地で行くような店主の素晴らしい器量に感銘を受けました。