守屋洋著「世界最高の処世術 菜根譚」(SBクリエイティブ 2015年)には、次のような処世術が記されています。
進むときには退くことを考えておけ、始めるときにはやめることを頭に入れておけ
前に進む一辺倒では良くないようです。
会社の経営においても、規模を大きくするだけでは配慮が足りないでしょう。
小宮一慶著「社長の心得」(ティスカヴァー 2014年)によると、良い会社の要件の一つとして
会社は「小さくなる能力」を持たなければならない。
と述べられています。
神田昌典著「60分間・企業ダントツ化プロジェクト」(ダイヤモンド社 2002年)において、事業経営に関して、
事業寿命が短い断絶の時代では、参入障壁を高めると同時に、撤退障壁を低めることが必要である。
と述べられています。
石原明著「トップ3%の人だけが知っている仕事のルール」(中経出版 2013年)によると、凡人と一流を分ける「行動」のルールの一つとして、
撤退の決断が早いほどダメージは小さくなる。
失敗が見えている仕事があれば、勇気ある撤退を検討しよう。
と述べられています。
経済学においても、「サンクコスト(埋没費用)」の教訓があります。取り戻しようがない費用のことで、早期に諦めると損失が少なくなります。事業経営だけでなくプライベートにおいてもサンクコストに執着しすぎると、身動きが取れない状態になってしまいます。
退却することは決して恥ずかしいことではないのです。前進するときに、後方に退く策も考慮しておくことは、むしろ賢明なことなのです。